Nothing better

恋と嘘 ページ17

※映画「恋と嘘」のネタバレを含みます。
〈樹side〉


オフの日。

Aがふと寛太くんが出演していた"恋と嘘"が見たいと言い出して、リビングの大きいテレビにて絶賛上映会中。



陸「わぁー！「黙れよ」だって！！」

翔平「からのきっキス！」

北「かっこいい〜」


Aよりよっぽど女子らしい反応のこの３人。



樹「寛太くんのこういうシーン見るのなんか違和感…」

翔吾「映画館で見たときは平気だったのにね」



見たいと言った本人は、ソファーの真ん中でクッションを抱きながらじっと画面を見ている。

珍しくノーリアクションで。






『高千穂くん、かっこいい…』



いや、隠してただけでめっちゃニヤけてた。



この状況が面白すぎて寛太くんに
樹「恋と嘘」上映会中樹〈リビングの様子をとった写真〉
と送ると既読がついた瞬間かかってきた通話。


寛「どうしてそうなった！」

樹「Aが見たいって言って、上映会始まった笑」

寛「公開処刑かよ」

樹「どんまい」

寛「とりあえずAにかわって、文句言いたい」


と言われたので、結婚式のシーンで半泣きになっているAにスマホを渡す。

寛「お前なっ『寛太くんっ、高千穂くんいい人過ぎるよ！』

寛「は？」

『あたしだったら絶対高千穂くん選ぶね！だってこんなにかっこいいし、不器用だけど優しくて、ホントまっすぐでいい子じゃん』

『こんな初めて好きになって信用できる人手放すのに、自暴自棄にもならずに相手の幸せをちゃんと願えてホント偉いよ、、、』

寛「えっ、ありがとう？」

すっかり、怒るタイミングも気力もなくした寛太くん。

『あっで、なんか用事あった？続き見たいんだけど、今じゃなくちゃダメ？』

寛「…今じゃなくて、いいや」

『そっか、じゃあね』

通話を切るや否やまた画面をじっとみる。



完全にAのペースに持っていかれた寛太くんを翔吾さんと二人で笑っていると、寛太くんからのLINE。


寛太Aのペースに負けたわ…

ここまで寛太くんを振り回せるのはうちの幼馴染だけだと思う。




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