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キヨside

Aと分かれて俺たちはゲーム用品や収録機材を見ていた。

すると突然俺のスマホが愉快なメロディーを奏で始めた。何かと思い、スマホを覗いてみればそこにはAの名前。何かあったのかと思い急いで電話に出た。

「どした？」

『んとね、迷子になっちゃった』

はぁ？と大きめの声で言うと近くにいたうっしーがびっくりして声を上げかけていたが、何かを察したのだろう、こちらに近づいてきた。

「どうしたの？」

「Aが迷子になったらしい」

『キヨ兄ー、私方向音痴だったー』

そうだ。こいつは極度の方向音痴だった。1人にするべきではなかった。初めての場所や広いところではすぐに迷ってしまうからいつも俺が一緒にいた。

さすがにもう治ったと思っていたけど、初めての場所かつ広い場所で最悪のパターンだった。なんで俺は気づかなかったんだ。

「今どこにいんのよ」

『んー、わかんないんだよー』

はぁ…ほんっとにこいつは…

俺が二度目2種類目のはぁを繰り出したところに、ガッチさんとレトさんが来てくれた。俺がAと話している間にうっしーが呼びに行ってくれたみたいだ。

「なんか近くに見えるものでもなんでもいいから教えて。てか買い物は終わったの？」

『終わってキヨ兄達のところに行こうとしたんだけど…』

「下手に動くなよ」

『え？うん…わかった』

それから俺たちはAの発するとても少ない情報を頼りに、何とかAと合流した。

どれだけ俺が心配したと思ってるんだか知らないが、俺らの心配を他所にこいつはへらへらしていた。

確かにいつもの事だったけど。俺が思い出さなかったのが悪いんだけど。にしても限度がある。未だにここまでの方向音痴だとは思わねーだろ普通。ほんと疲れた。

みんなそれぞれ今回のことを学んだようで、もう二度とAが迷子になることはなくなった。
というのもどんな買い物も誰かが必ず着いていくようになったのだ。Aは「子どもじゃないんだから！」と言うが、実績がいくつもあるのに着いていかない方が無理だ。
いつの間にかAは諦めるようになり、俺たちがついて行くのにも文句を言わなくなった。