出会った時からスキ番外編 (ページ8)

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「………なんで白紙なん」

「何がしたいか分かんないってさ。」

「あー、なるほど、」

関係が戻ってから蓮は前のように日曜日になると俺のマンションに入り浸っている。

日曜日だし外では "恋人" だから進路の話などしたことがない。
けど、これはやばい。

「おっ、康二と北斗お疲れー……ってなんかあった？」

「深澤くんお疲れ。」

「隣のやつ頭抱えちゃってんじゃん、」

隣で北斗とふっかさんがなんか言ってるけど構ってる場合じゃない。
もう5月も終わりで、部活も引退する生徒が多くなり本腰入れて受験勉強をする子がほとんど。

「夏休み前の希望者進路相談、あいつするって？」

「あー、あいつは強制だな。」

「よな、」

それまでに何か俺ができることやってあげなあかんかな、と思っていると北斗に「あんま考えすぎんなよ」と言われる。

＿＿＿＿＿＿

あの進路相談から数週間。
ずっと話をするタイミングを伺っていたけど、どう切り出すか、なんて言うか、なんて考えていたらいつの間にか時間は過ぎ……。

希望者進路相談期間になってしまった。

ラウールを含め、自分のクラスの子は大学も学部も決まり落ち着いた。
けど、俺にはもう1人気になる人がいるため気が抜けない。

生徒と面談が終わり職員室に戻って仕事を進めるけど気になって時計をチラチラ見てしまう。

「……康二、気になる？」

「へ？あー、まぁ、」

「どーせ、ちゃんと聞けてないんでしょ？」

「ほんま阿部ちゃんは何でもお見通しやな。」

そりゃね去年から見てますから、なんて言われたら苦笑いしか出来ない。

阿部ちゃんとそんな話をしているとバンっと誰かが職員室の扉を勢いよく開ける音が聞こえた。

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