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『以上を持ちまして今年度の体育祭を閉会致します。』
閉会式が終わると自然と拍手が沸き起こり楽しかった1日が幕を閉じる。
クラス席のテントを片付け卒業アルバム用の写真を撮り終えれば、その場で生徒同士で写真を撮り始めたり、校舎へと戻っていく生徒たちと様々。
先生らはこの後、職員会議があるため校舎の方へ戻ろうとグランド入口の門をくぐろうとした時後ろから誰かにグッと手を引かれ、何処からも死角になる場所へと連れ込まれた。
「ちょ、危ないやろ、目黒。」
「お疲れ、せんせ。」
「聞いとらんし。」
もちろん相手はさっきまでクラス対抗リレーで大活躍しクラスの中心にいた目黒。
「リレー見てた？」
「おん、見てたで。アンカーで逆転勝ちとか凄いやん。」
「ははっ、先生に褒められると嬉しい。」
そう目黒は目を細めて笑うと俺の頭にポンっと手を置く。
「てか、なんで借り人競争の時すぐ出てきてくれなかったの。」
「いや、この関係でこっち来たらやばいと思うやん。」
そう少し高いところにある目黒の目を見ながら言うとむっとした不機嫌な顔になる。
「俺、ヘマするような奴じゃねぇし。そんな簡単に先生手放す訳ないんだからちゃんと場所考えるよ。」
「ふふっ、そうやった。俺も離せって言われても離す気あらへんで？」
「ふっ、上等。……じゃあもう行くね。」
自分から引っ張り込んどいて何やねん、と言おうとした時グッと腕を引かれ耳元から大好きな少し低い声が聞こえる。
「あんまり可愛いことしないでね、こぉじ。」
「はぁ！？」
言っている意味が理解出来ず聞こうとするもイジワルな顔をして去っていく目黒。
「……何やねん。てか、そっちもいきなりかっこいいこと言うなや、バカ蓮。」
そう呟いたひとりごとは誰にも聞かれることなく静かに消えていった。
『最後の体育祭』fin.
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作者名：shiro. | 作成日時：2020年11月13日 12時
