愛おしい人 ページ44
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北斗とちゃんと向き合えてから2週間。
生徒たちはクリスマスと冬休みが近いせいかふわふわしている様子が伺える。
それに苦笑いしながら授業し、放課後職員室で様子を言い合うのが最近の日課になりつつある。
「あぁ、あと1週間でクリスマスだし冬休みだし早ぇ。」
「ほんとだよね。康二は？今年は目黒と？」
今日も週終わりということもあり、阿部ちゃん、ふっかさんと珍しく翔太くんの4人でいつもの居酒屋に居る。
阿部ちゃんに「目黒と過ごすんでしょ？」と言われても返答に困る。
北斗とは話せたけど、まだ目黒との距離は変わらないまま。
「………康二お前、その様子だとまだ目黒との距離戻ってねぇな。」
「………っとぉ、」
「はぁ！？まじ！？何してんのお前。」
「え、康二、あと1週間で冬休みだしクリスマスだよ？」
翔太くんの一言でふっかさんにはバカだろみたいな事を言われ、阿部ちゃんには心配されまくってしまった。
分かってる。
こんなにワガママ聞いてもらってるんだから、今度は俺があいつを迎えに行く番。
「まじでちゃんと話せよ」と3人から言われ今日はお開きになった。
＿＿＿＿＿
「はぁ。」
あれから、目黒と話すタイミングを伺っているけど俺からあいつに連絡することは出来ないし、学校では話さないし。
距離を置いてるため、彼が家に来ることも無い。
どうしよか、と頭を抱えていると後ろから誰かに肩を叩かれた。
「うおっ、北斗。どしたん？」
「ねぇ康二、これあげる。お詫びってことで。」
「は？」
そう言って渡してきたのは、俺らの街から遠く離れた街でクリスマスに行われるイルミネーションの点灯式のチケット。
どうやら、北斗の友達からチケットを貰ったが行く予定もないため俺に譲ってきたらしい。
「お前、まだあいつと距離戻ってねぇんだろ？」
「なんでそれ。」
「あー、雰囲気？でも、それで話すきっかけ、なるでしょ？」
「まぁ、うん。ありがと。」
「2枚あるし、あいつと行ってこい。もう1枚は俺から渡しとく。」
そう言って、もう1枚のチケットをヒラヒラさせ職員室を出ていった。
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作者名：shiro. | 作成日時：2020年10月21日 20時
