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松村side
康二と話し終わって職員室に戻るまでに目黒との会話を思い出す。
＿＿＿＿＿＿
実は康二の所に来る前、目黒にばったり会ってしまった。
目黒のクラスの日本史を担当しているため授業では顔を合わせるが、それ以外では初めてだ。
「先生、ちょっといいっすか。」
「……おう。そこの教室空いてるからそこでいいか？」
こういう時でもちゃんと俺の事を「先生」と呼ぶ目黒に感心しながら、職員室から近い空き教室に2人で入り扉を閉める。
「………俺と康二のこと、聞いたか。」
「深澤先生から。」
「そ。」
「でも、あいつは渡さない。」
そう真剣な顔して真っ直ぐ俺を見て言う目黒。
ああ、なんか康二が惚れたのもしょうがないな、なんて高校生相手に思う。
………最後だから、だから許して。
「お前らは "教師と生徒" だぞ。それに康二は昔、いきなり俺を避けてたんだ。」
「は？先生と生徒だから何？そんなん関係ねぇし。てか、お前康二のどこ見てきたんだよ。」
「……っ、」
「康二が理由もなく避けるわけねぇだろ。康二のこと見てたら分かんだろ。あいつは、自分よりも他人のことばっかで、誰よりも優しくて温かい、そういう奴だ。」
高校生に言われて10年後に気づくなんてほんとバカだ。
出会った時からずっとあいつはそうゆうやつだ。
他のやつになんと言われようが話しかけて構ってくれたのはいつでも、康二だった。
「………昔も今も俺はあいつのことが好きだ。けど、お前といる康二はなんか、柔らかい雰囲気がある。目黒のお陰なのかもな。」
「何だよそれ。」
「ちゃんとあいつと話てくるから安心しろ。」
泣かしたら許さないから、という言葉に適当に返事し康二の元に向かったんだ。
＿＿＿＿＿＿
『今は蓮が可愛くて愛おしくてしゃーない。何があってもあいつを守るって決めたんや。だから、ごめん。……ありがとうな、北斗。』
ほんと、あいつもバッサリ振るんだなぁ。
康二を好きになって後悔はない。
もうちゃんと応援できる。
だから、2人とも頑張れ。
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作者名：shiro. | 作成日時：2020年10月21日 20時
