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「あ、やっと先生帰ってきた。何してたの。」
目黒たちを見送ったあと職員室に戻ると金曜日というのもあってか残っているのは若い先生ばかり。
あべちゃんもその中の1人で。
「え、何まじどうしたの康二。疲れた顔してっけど。」
「………俺だって疲れとるときあるがな、ふっかさん。」
「何かあったの？………もしかして、目黒絡み？」
机の上で垂れていた俺はあべちゃんのまさかの発言で勢いよく起き上がったせいで足を机にぶつけてしまった。
それを見たふっかさんはお腹を抱えて笑い、あべちゃんは「え、康二怪我ない？大丈夫？」と焦っている。
ほんとに性格が丸分かりだ。
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「なるほどねー、それで話してて遅かったって訳だ。」
ふっかさんとあべちゃんはニヤニヤしながら頬杖をついて俺の話を聞く。
結局あれから、動揺しまくったせいであべちゃんとふっかさんにバレて、「どうせ仕事も捗らないでしょ」というあべちゃんの言葉で3人で近くの居酒屋さんに来ていた。
「まぁ初めて来た先生を嫌い、と言わずに好いてくれてるのは嬉しいけどさ。」
前に座るあべちゃんとふっかさんに唐揚げをほおばりながら言うと2人から「へ？」という間抜けな返事が返ってきた。
「え、ちょ、ちょっと待って康二。まじで言ってんの？」
「ん？まじって何が？俺は嘘つかんけど？」
「………そうだ、こいつ超鈍感野郎だったわあべちゃん。」
そう好き勝手俺のことを鈍感野郎だの天然野郎だの散々貶した後2人は頭を抱えてしまった。
「何で、2人が頭抱えてるん。頭抱えたいんはこっちや。」
「………ふっか、目黒が可哀想に思えてきた。」
「………いかにも。」
いやいやいや、何なんやこの人ら。
そう思いながら2人でブツブツ話す前で、普段はあまり呑まないのに俺は2杯目を頼んだ。
気づいてないなんて、そんなことは無い。
俺と目黒は「先生と生徒」だ。
俺はただ、気付かないフリをしているだけ。
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作者名：shiro. | 作成日時：2020年10月21日 20時
