【原神】8月31日の約束【男主】【現パロ】 (ページ17)

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『ごめん。2人に酷いことをした…。こんな最低な僕のことなんか忘れて2人は楽しんで生きてね……ちゃんと元の世界に戻すから…』

涙声になりながらAはそう言う。

空「忘れるわけない！Aとはいつまでも親友だ！！ほら、顔を上げて！」

魈「こんなのかすり傷だ、腑抜けたことを言うでない、A」

俺たちがAの言葉を否定するとAは泣きながら『ありがとう』と言って抱きついてきた。

空「ねぇ。お祭りの写真……一枚も撮ってなかったよね？写真、撮っておこうよ」

お祭りの最大の目的であった、思い出を残すことを叶えるチャンスだ。

手持ちのこのスマホにデータが残るかどうかは分からない、もしかしたらちゃんと残ってくれるかもしれないという希望を抱いて写真を撮りたい。

『ぁあ、そうだね！ちゃんと可愛く撮ってよ、空！魈、近寄って！！』

魈「う、腕をそんなに引っ張るな！」

『ふふ、何も聞こえなぁい！空、いつでもいいよー！』

空「うん、撮るよ！」

俺たち3人はくっついていつものような写真を撮る、こうして写真を撮るのはもう二度とない…。

Aがニコリと笑って俺と魈に抱きついている、魈は少しだけ柔らかい表情を浮かべていて俺はいつもの顔。

写真を撮り終わったあと、花火の音が鳴った。

『花火大会の時間……だね。もうすぐココは無くなる』

崩れる世界、どろりと溶け出す人々。

全てが終わり、止まった時が時が進んでいく。

『ごめん……本当にありがとう、空、魈。おれ、楽しかった』

空「おれも……楽しかったよ。A」

魈「楽しかった……」

もうすぐこの世界が崩れる。

この止まった世界が終わりを迎える、

現実がやってくる。

この先の未来にAはいない、それがどうしようもなく虚しく受け入れたくなくて思わず手を伸ばしそうになった。

魈「空、ダメだ」

『そうだよ。空たちはまだこっちに来ちゃダメだぞ！』

A言葉に涙が出る。

このやり取りも今日でおしまい。

『泣かないでよ、俺。2人に会えてほんとによかった。仲良くしてくれて、ありがとう！先に逝くけどちゃんと2人のこと見てるからね！』

暖かい光が溢れ出す。

思わず目を閉じる。

暖かな光は全身を包み込む、ほのかにAの匂いが鼻をくすぐった。

『頑張ってね、そら、しょう……さよなら』

その言葉を最後にAの声が完全になくなる。

時は動き出す。

高校生活最後の夏が終わった。