【原神】8月31日の約束【男主】【現パロ】 (ページ15)

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+_13_逃げ道+ ページ15

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ハッと我に返ると辺りの光景がより一層不自然に色が薄くなっていた。

空「帰らなきゃ……元の場所に__」

ひんやりとした冷気が頬を伝う。

鋭い視線が俺を捉えた。

『ねぇ。どこに行く気なの？空、魈』

今まで聞いたことがない恐ろしく低い声でAが俺たちにそう言う。

虚ろだった茶色の目は赤紫に怪しく光り、鋭い眼差しを俺たちに向けている。

『おれを置いていくなんて……しないよね？ずっとここで繰り返そう？ここでずっと夏祭りを繰り返してずっとずーっと俺たち３人でお祭りを楽しもうよ。ね？』

空「A……ごめん。俺たちは残れない」

魈「元の場所に戻る。すまない、A」

ここには残れない。

俺達には帰る場所がある…。

『残れるように……一緒に入れるように……さ___』

口元が不気味なくらい釣り上がる。

Aの手に、包丁が現れた。

もしかして……Aは俺たちのことを……。

『ﾀﾋんでよ、2人とも』

包丁を構え、Aは俺たちに襲いかかってくる。

咄嗟に避けたけどギリギリだ、俺たちはAから逃げる、掴まればきっと……。

空「魈！Aを何か使って止めよう！」

魈「止める手段などあるのか！？」

空「確かA、正門の外に出てなかった。もしかして何かしらの理由で出られないんじゃないかな！」

魈「正門まで走れば良いのだな！我が担いで走る、振り落とされぬよう捕まっておけ！！」

空「ちょ、自分で走れるけど！？」

魈「お前は我より足が遅い、それではあやつに捕まるだろう！」

魈は俺を軽々しく担ぎあげスピードを上げて走る。

この3人の中で断然魈が足が早い、それはもうAと比べたら桁違いなぐらい。

『っ…逃げないでよ！！俺と一緒に居てよ！！行かないでッ！！』

正門に差し掛かった時、Aは焦ったようにそう叫んだ。

これは考えが当たった、そう思った時Aが包丁を魈に向けて投げつけた。

包丁は命中はしなかったものの、魈の足を掠めてガクンっとスピードが落ちる。

空「魈！！」

魈「っ…問題ない！」

Aの方を見ると酷く同様した様子で立ち止まっていた。

『っ…ご、ごめ……いや、殺すから…殺さなきゃいけないから…し…しかたない』

魈はその隙に俺を担いだまま落ちた包丁を手に取って正門の方に走る。

『まって、お願い。いかないで…ひとりに…しないで』

弱々しい声でそう言いながらAはフラフラと俺たちの方に歩いてくる。