【第五人格】奪われた灰色の弟【男主】

〆（後日談）〆 ページ33

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湖景村のマップにある噂が流れた。



村のゲート前の砂浜に行くと誰かが歌っている声や喋っている声、笑う声、泣く声が聞こえてくるらしい。




そして、ゲート前の椅子に座るとその歌っている声の主が見えるというらしい。



エミリー先生やカートさんが見たと聞いた…。



男の子の姿や“人魚”の姿の人がいるらしい。



あの日以来湖景村のゲームは全て参加を断っているから僕はまだ見た事がない。




あの日から僕とイライさん以外の人がAのことを綺麗さっぱり忘れてしまっていた。




なかったことになってしまっていた。




そんなある日、荘園の主に湖景村でゲームをするように指示があった。



渋々ゲームに参加しいつも通りに立ち回る。



船側に棺を立てておこうと思い船に向かう。



棺をたて終わり船上の暗号機を解読し始めると遠くから綺麗な聞き覚えのある声が聞こえた。



解読をやめ、僕はその声を頼りに近づいてみた。




海岸に近づいてみると砂浜に膝を抱えている A が居た。




僕は急いでAの所へ駆け寄ったけど僕が近づくとAは煙のように消えてしまった。




少し離れるとまた現れ、近づくと消える。




声をかけてみたけど一切聞こえていない様子。




近い距離にいるのに話せない。




今すぐ抱きついて謝りたい、あの時の後悔が押し寄せる。





__ただ、1人で時を過ごす…_




_姿なんて誰にも見えない_



_けっきょくぼくはひとりぼっち_




_手でもう一度触れることは出来ない_





Aは2回同じことを繰り返すと姿を消してしまった。




急いでAが居た場所へ行ってみると小さな足跡が残されていた。




僕は砂浜に【ごめんA】と書き、最後に【大好きだよ】と書いてゲームに戻った。





ゲームが終わり数日後、再び村に行くとAの声や姿はなく、砂浜に木で文字が作られていた。




【ありがとう】



この文字が書かれていた日以降噂が嘘のように消えてしまった。



Aをもう二度と見ることは無かった…。









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