【第五人格】奪われた灰色の弟【男主】

〆（11）〆 ページ12

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夢主くんside




水面に何かが垂らされた。


その匂いは僕の大好きな匂い。


お腹が空いている僕にこの匂いはダメ…。


ここでは人を襲わないように理性で本能を押さえつけてるけど空腹時は1番押さえつけるのが厳しい…。


我慢できたことがない。




『[ダメ…ダメダメ。落ち着いて…落ち着いて…]』



水面に映る人影。


ダメだ、抑えられない。



食べちゃいたい。



僕は水面に映る人に向かって勢いよく襲いかかった。




『[食べさせてよ]！[少しぐらいいいでしょ]！！あﾞあﾞっ！』



「Aっ！」



誰かが僕の名前を呼んだ、誰が呼んだかはわからない。



そんなことより電流が全身に流れて体が痛い。


大人しくすればいいと頭では分かっているけど諦めれない。


歯止めが利かなくなって僕は爪を立てて人間を襲う。



『はぁっ…はぁっ…[食べさせてっ]！[食べさせてよっ]！』



水面に映る人が何かを言っている。



もう力が出せ無くなってきた。


僕は早く人間になって待たせている人のところへ戻らなきゃいけないのに。



『ううっ…[海に帰りたい]……』



お魚さん達が心配して遠くから僕に声をかけてきてくれた。



しばらくすると肉が水槽に落とされて僕はそれを残さずに食べる。



食べ終わればいつも眠っている場所へ泳ぎ傷が癒えるまで横になる。



こんな生活が続くなら逃げ出したい…。



既に調理された肉は栄養は少なすぎる。



食べても少ししか回復することが出来ない。




人を落としてくれたならイイのにナァ…。








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