ワンナイトラブ〜過ちから愛に変わる時

母と私 ページ35

母「お母さんも、お父さんと出会った時ワンナイトだったの。」


『え…。』


母「初めは、合コンで出会ったの。

その時、お母さんお酒飲みすぎて酔っ払っちゃったの。
友達とお店の外まで出た記憶はあったんだけど、気づいたらホテルにいて、隣を見たらお父さんがいた。
もちろん、衣服はなかったし、"ああ、やったんだ”って思った。」


『それでどうしたの？』


母「3ヶ月後、Aがお腹に入ったことが分かって、お父さんと会って「責任とります。」っていうからなりゆきでそのまま結婚したの。」


『なりゆきって…。』


母「でも、産まれる直前、問題が発覚したの。」


『問題？』


母「が ん 見つかったの。」


え？何それ？


『聞いてないよ、そんな事。』


母「言うつもりなかったの。

家族や友人はAより私の命を優先しようとした。
もちろん、お父さんもね。

それが嫌で、手紙を残した。離婚届と一緒に。

家出した。」


母の目から涙が一筋流れた。


母「不思議よね、なりゆきで結婚したはずなのに、気づけばお父さんの事好きになってた。

Aを選んだのに、頭の中にはお父さんで埋め尽くされていた。」


『それでどうしたの？』


母「迎えに来てくれたわ。2人でどうするか話し合った。

だから、Aが"できた”って聞いたとき、私たちは責めることが出来なかった。
だって資格がないから。」


『病気は！？どうしたの！？』


母「全摘よ。だから、生きてるの。」


それで、お母さん…


『弟妹作れなかったのも…。』


母「あの時は、怒っちゃってごめんね。」


今でも覚えている。
あれは5歳の時だった。

周りの友達は、みんな弟や妹がいるのに私はずっと一人っ子だった。

寂しかった。
遊び相手が欲しかった。
だから……


《幼少期》


『ママ〜、弟か妹ほしい！ねぇ〜ママ！ほしいの!』


母「ごめんね、ママそれはできないの…。」


『ねぇ〜なんで！?Aもほしいの!!お願い!!』


母「いい加減にして…。」


『いやだ!!ほしいの!!』


母「いい加減にしてって言ってるでしょ！！！！」


＿＿＿ビクッ


母は滅多に怒った事なんてなかった。
怒られた事をきっかけに5歳の私は、母と距離を置いた。


『ごめん…なさい。』


5歳の時まで「ママ」と呼んでいたのもこれが最後だった。

ずっと後悔していた。
家族でも触れてはいけないタブーがあると。

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