煉獄の炎に焦がれる

４８話 ページ48

「炎柱煉獄杏寿郎、上弦の三に敗れ死亡」


それを聞いたのは日が昇ってすぐの時だった






「え・・・？それは何かの間違いでは・・・」



鬼殺隊の隠という方が杏寿郎さんの烏の要君と共に来てそう告げる


彼も涙を流しながら一生懸命に首を振りながら杏寿郎さんの最期を教えてくれる




聞きたくない・・・聞きたくない



「嘘よ・・・だって杏寿郎さんは帰ってきたら迎えに来てくれるって・・・


私をお嫁さんにしてくれるっていったもの！！！

杏寿郎さんは約束を破る人じゃないもの！！！！」



隣に居た千寿郎君が大粒の涙を流し私を抱きとめる




「杏寿郎さん！杏寿郎さん！！！
お願い！私を置いていかないで・・・！」




そう取り乱す私を一生懸命押さえる人たちに掴みかかる



暫くして家に彼の遺体が運び込まれた




その姿は隊服ではなく死装束を着せられ血は拭かれて綺麗になっていたが傷だらけで目を瞑っていた


いつもの彼は楽しそうにそして少し意地悪そうに笑い、大きな声で私の名前を呼んでくれる

杏寿郎さんはいつも暖かな手をしているのに私が今握っている手は冷たく硬い




「これを・・・」


そう言って隠の人に渡されたものを見る


ボロボロの隊服
それは鳩尾に大きな穴が開き少し乾いた血がじっとりと含まれていた

赤く綺麗だった刀も折れてしまっている



「炎柱様は無限列車に乗られた乗客乗員、そして鬼殺隊の他の隊士も誰一人死なせることなく守り抜きました・・・」



最期まで彼は立派だったのだ


こんな姿になるまで無茶して・・・


素晴らしい最期だったんだろう・・・


でも・・・それでも・・・


「・・・・あなたに生きて帰ってきてほしかった・・・」



冷たくなった彼に縋り付き止まることのない涙を流す

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