chondritic meteorites Ⅱ ハーデス成り代わり (ページ32)

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LC 18-2 ページ32

ｶﾞｼｬﾝｯ！！

｢お前ほど邪悪な存在など見たことがない！！｣

｢お前は人の分際で、冥王軍を、我が一族を、聖戦の行方すら操ろうとしている。｣

｢神聖な使命！？違うな、それこそ邪悪よ！！｣

｢邪悪…？｣

｢そうだ。＿＿お前こそ邪悪な人間だ｣

｢人でありながら、冥王を語るなどなんと傲慢。なんと浅はか。成人の魂のはずなのにまるで子供のようだが純粋さの欠片もないような汚い心。今まで見たこともないほど醜い魂よ！｣

｢俺が…｣

そのような汚れたものはそうそうに消えるが良い。
すると胸元の銀のペンダントが光り出した。
嗚呼。やっとお越しになった。
神なる小宇宙を放っている依り代に挨拶を申し上げる。

｢心よりお待ちしておりました。我が主｣

｢そうだ。我は冥王ハーデス＿＿今こそアテナ軍を迎え聖戦の決着をつけよう｣

｢＿＿何て言えば良いか？ヒュプノスよ｣

ハーデス様ではないことに目を見開く。
この夢界は生身であれば魂の消滅を早める場所。魂は強い意思がなければ留まれない。長い間ここに留まっていれば簡単に消えるはずなのに＿＿

｢…なんと汚れた魂よ｣

肉体を得ずとも、ハーデス様は存在を表すが如く小宇宙は大きく揺らめいていた。
＿＿この後の話は、私も頭が悩乱する結果となる。

"この世界は所詮物語である"

タナトスもなんだかそんなことを言われたと聞いたことが、不意に頭に過ぎった。

事実と語る魂に、少し動揺する。
しかし、ハーデス様が冷静に語る姿を貫かれたおかげで、私は落ち着きを取り戻すことができた。
それなのに＿＿

突如としてハーデス様は、存在が維持できなくなった。
まるで部外者を排除するような強力な力によって。
その様子を高らかに笑う存在が一つ。

｢ハッハッハッ！！馬鹿め。俺が何も用意していない訳がないだろう。さらばハーデス。お前は消えるがいい！！｣

ハーデス様が消えてしまう＿＿！
私はアローンの肉体ごと消そうと前に出ようとした。
その時。ハーデス様から小宇宙がどっと送られてきた。

＿＿良い。我にやらせろ。
そう言われたように思えた。

ハーデス様はアローンの身体を一度通ると吸い込まれるように消えていった。
汚れた魂の断末魔の叫びと共に。

｢＿＿あっ。へ？｣

声の元を横目で見ると確かに無くなっていた。
魂以外の持ちうる全てを。
一歩近づくだけで、畏怖する存在にあえてゆっくりと近づく。

『来るなっ！』

聞かぬ。

『止まれ』

効かぬ。

『止まれ…止まれぇ！ヒュプノス！！』

ｶｼｬﾝｯ！！！

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