LC 16-1 ページ17
アテナ視点
＿＿アテナ神殿にて＿＿
ハーデスの率いる冥王軍は、ハーデスの力によって何度でも甦る。
死闘を繰り返す聖闘士の為にも、私は持てる全ての力をもって、アテナとして結界を張りつづけなければ。
疲労を感じる身体を律する為にニケを強く握り、小宇宙を高める。
私は一人ではない。ついさきほどまで黄金聖闘士が、私の側へやって来てくれた。
それだけで、私は強く結界を張りつづけられると感じた。
＿＿しかし
ﾊﾞｷｨｨｲ!
結界の壊れる音が響き渡ると共に、結界の壁が降り注ぐ光景に
私は思わず叫んだ。
＿＿怖いっ！
結界を壊すほどの威力。思いつく相手は一人しかしない。
攻撃的な小宇宙を感じ、身体が強張り尻餅をついてしまう。
｢＿＿アテナ。聞こえているだろう？｣
聞き覚えのある声に、はっと見上げる。
目で必死に探すと時計台に懐かしい姿を確認した。
｢アローン兄さん…｣
そうつぶやいたその時、慌ただしくアテナ神殿へと続く階段を駆け上がる金属の擦れる音が近づいてきた。
二人の黄金聖闘士達が、私の前にやって来てくれたのだ。
私は少しホッとした。
それも束の間＿＿
二人は、私の目の前で強い圧に潰された。
｢シジフォス…！アルデバラン…！｣
必死に声をかけるものの、声にも出せない様子で圧に屈しないよう耐える姿に心が潰れる。
それを嘲笑うかの如く、アローン兄さんは空から私たちを見つめた。
｢これで、この十二宮に動けるものはいなくなった。…二百数十年ぶりだな。アテナ。｣
｢…兄さん｣
｢もはや余は、お前の兄などではない｣
｢嘘です｣
｢いくら、お前が人であろうとしても、あの幼い日々はもう帰らない｣
…っ！兄さんの声でそれを言われると、私の胸は重苦しくなる。
戻りたい…あの日々に。そんな願いですら叶わないのでしょうか。
｢その帰らぬ日々を奪ったのは……俺か？｣
シジフォス…！
あの重圧に逆らって立ち上がり、アローン兄さんの身体に矢を向けた。
｢…お前、どこかで見たことがある。確か、５年前にアテナを村から連れ出した男だ」
兄さん…
私は一度シジフォスを見ると、シジフォスと目が合った。
シジフォスは下に視線をおき、少し考えるそぶりを見せて言った。
＿＿なぜ今生、貴女はアローンと天馬座のもとに生まれたのかと。
私が口を開くより前に、ハーデスであるはずの兄さんの口から声が出た。
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作者名：ルビ | 作成日時：2022年2月1日 22時
