鶴は幸せを運ぶのか Ⅱ (ページ42)

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「待て！」
『蓮！』

すると、蓮が遠ざかる彼を呼び止めた。既にボロボロの体を無理に動かそうとするものだから、傷口から止まりかけていた血が流れ出す。

「ッよせ、」
『ちょっ、そんなこと言える立場じゃないでしょうが！』
「っく…」

我慢ならないとばかりに傷を治せば、蓮から静止の声がかかる。身を捩って逃れようとする蓮を押さえ込んで、力を送り続けた。

みるみるうちに蓮の怪我が治る。
その様子を見た北岡サンは、先程とは一転、興味を取り戻したようにこちらへ向かってきた。

「へーぇ？成程、Aちゃんが"終着点"なワケだ…。回復とか強化とかもできちゃうんだっけ？」
『…』
「オイオイ、ソイツは知ってんだろ？教えてくれたっていいじゃない。同じライダーなんだからさ」

贔屓はどうかと思うけど？なんて、北岡サンは言う。

終着点の存在は、他のライダーから聞いたのか兄さんに聞いたのか。…いや、ライダーが協力するなんてそうそうないし、本人だってそう言っている。恐らく後者だろう。

北岡サンには全てを話した。自分が把握している、自分ができること全て。

死んだライダーやモンスターが私の中に還ること。
その力を使ってライダーの回復や強化をできること。
ライダーと同じように、モンスターの存在が分かること。

贔屓という言葉を聞いて、言わない訳にはいかなかった。
ライダーの贔屓はしない。終着点として平等に接する。どのライダーも、譲ることの出来ない願いを背負っているのだから。
それが、兄さんとの約束だ。

「ふぅん。…教えてくれてありがと」
「オイ、」
「…なによ」

私の話を聞いて、帰ろうと踵を返す北岡サン。それを、再び蓮が呼び止めた。

「お前は何故ライダーになった。何のために戦っているんだ！」

先程の北岡サンの質問を、そのまま返すようなソレ。
口を噤んだ蓮とは違い、北岡サンは迷いなく答えた。

「永遠の命」
『＿＿！』

あの言葉だ。
言った瞬間、空気が変わったあの言葉。