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「いってえ…」
『ホラ、手動かして』
「労わってくれてもよくない…？」
『自業自得』
あの後、編集長のジャーマンスープレックスが見事炸裂し、真司は大ダメージを負った。
未だ痛みが長引いているようだが無視。自分でやった事の始末くらいはつけてもらわねばならない。
そして、真司の粛正から開放された編集長は、送られてきたメールに目を通す。
「金色のザリガニィ？」
「はい。発見者本人からのメールです」
メールの内容は、金色のザリガニを捕獲したのでOREジャーナルの記事にして貰えないか、というもの。
第一印象は、随分しょうもない案件だな、といった感じ。
なんとも胡散臭くて、気乗りしない。取材は御免被るな。
……なんて思っていると、ソレに食いつく男が一人。
「金色のザリガニ…なんか…唆りますよね編集長！」
掃除から逃れる道を見つけた真司は、腰の痛みはどこへやら。ニコニコ笑って編集長と島田サンの元へ歩いて行った。
オイ掃除しろって言ってんだろ。
「いやー、俺実はね、子供の頃、ザリガニ取りの真ちゃんって呼ばれてたんですよ。取材してーなぁー！」
演技臭い大声で言う真司。
…マァ、金色のザリガニの記事なんて見る人間は限られるだろうし、彼一人でも十分だろう。
有難いことに、今回は私や令子サンの出番はナシかな。
よかったよかったと意識を掃除に引き戻そうとすれば、編集長が真司の肩に手を置いて、こちらを見て。
「というわけでA！」
『…？はい、』
両手で真司の頭を潰さんばかりに掴み、前後に振り回しながら言った。
「真司連れて、ザリガニ頼むわ！」
……え、
『私ですかぁ…？』
出番ナシ、とは行かないらしい。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月24日 18時
