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『…なんて？』
「俺と結婚してくれ。」
『うわ聞き間違えじゃなかった。』
ソニックの言葉に頭を抑える。脳内を埋め尽くすのは、｢マジかよ｣の一言だ。
とりあえず痛む頭をなんとか回らせて、口を開く。
『…何で？』
「好きだからだが。」
『急すぎません？』
「一目惚れだからな。」
『なんで戦いを？』
「あの男を一人で撃退していただろう。どれだけの強さか気になった。」
『…で、結果は。』
「思っていた以上で惚れ直した。」
『私16歳なんですけど。』
「…なんの問題がある？」
『倫理観ェ …。』
「そんなものがあったら人殺しなんてしていない。」
考え直させるための質問をいくつか投げかけたが、全部当たり前のように答えられてしまった。考え直させるつもりが寧ろ再確認させてしまったような気がする。
ちなみにこの問答の間、ソニックはずっと真顔だった。…確実にヤバい。
「もう質問は終わりか？」
『えーっとですね…。』
「敬語はいらないぞ、A。夫婦となるのだからな。」
『……。』
彼は真顔から一転して笑顔で言った。
どうしたもんかな…。
「A。」
『っわ、』
考えあぐねていれば、さらに縮まる彼との距離。
「もう一度言おう。俺と結婚してくれ。」
彼の整った顔が目の前にあって、流石に言葉も詰まる。彼の目は真剣で、言葉では引いてくれそうになかった。
仕方がない。ここまで来たら最終手段である。いやまあ最終手段と言うほど大層なものでもないし、なんなら普通は一番スタンダードな方法なのだが。
『…ごめんなさい。』
その方法というのは、単純にお断りをするというもの。
「…。」
この方法を最終手段と言ったのは、人によってはこれが悪手になるからである。
通常、告白を断られたら身を引くものだろう。私だったらそうするし、大半の人間がそうだと思う。ただ、ヤバいやつというのは一定数存在するのだ。
まずひとつは逆上して殴る…酷いと殺しにかかってくるやつである。
まあこれはソニックに該当しないと思っていた。先程の戦いで、一度も私に傷をつけてこなかったからだ。
そしてふたつめは、断っても意に介さずに告白を続けてくるやつ。私の周りにはコレが非常に多くて、ストーカーの多くはこのタイプだ。
「……そう、か。」
『…。』
さて、どちらに転ぶか。
「分かった。」
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2022年9月5日 0時
