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「だが、それでも…お前に会うことだけは諦めきれなかった」
その、奥底の優しさが滲み出る微笑みのまま、彼は言った。
『…私も…忘れてる可能性、あったのに？』
「別に、自分の記憶が正しいか確かめたかっただけじゃない」
一度目が合えば、この空気が、笑って流せるようなものでは無いと嫌でも理解する。
どこかで見覚えのある表情に、私の視線を動かすことは叶わなかった。
「お前が好きだ。…だから、会いたかった」
カチ、と、ピースのハマる音がする。
彼の表情に対する見覚えの、その正体が分かったのだ。
アレはライダーバトルの集結まで、残り三日を切った日のことだった。優衣が連れ去られて、どうするべきか決めあぐねていた時のことだった。
彼は、今と同じ言葉を私に告げたのだ。その時の、私を射抜いた何処までも誠実な瞳と、現在の彼のソレとは一致している。
『…恵里サンは？』
「言ったハズだ、俺たちは本来そんな関係じゃない。実際、今は何の関係もないしな」
『…』
ライダーでも、恵里の恋人でもない、ただの、何も無い男になったら。
…お前は、俺を受け入れてくれるか。
その言葉がありありと蘇って、私の脳みそに飽和した。
身体の中心から熱が込み上げて、頬が熱くなる感覚がする。鼓動が早まって、痛いくらいに音を鳴らしている。
「好きだ」
『…蓮、』
「もう二度と、お前を傷付けないと誓う。どんな苦難からも、お前を守り抜く自信はある」
その言葉は、戦いの中で何度もすれ違い傷つけ合った、その身に余る程の苦難に耐え続けた…そんな彼が言うからこそ、真実味を帯びる言葉だった。
「好きだ。俺の、恋人になってくれないか」
熱い。
高鳴った心臓が。
赤く染る頬が。
視界を滲ませる目尻が。
『…うん』
全部、熱い。
『私も、好き』
泣くな、泣くなと言い聞かせて、溢れそうな涙を押さえ込みながら、どうにか笑ってその言葉を答える。
「…A、」
彼は一瞬動きを止めて、それから私の体を思い切り抱き締めた。
視界いっぱいに黒が広がる。
痛いくらいに力の篭った彼の腕が、酷く、暖かい。
「…ありがとう」
ほんの少し震えた声が、耳元でその言葉を紡ぐ。
その理由はきっと、告白を受けたからだけじゃない。ずっとずっと昔から続く年月の中で蓄積された、様々な事柄に対する感謝の言葉なのだ。
噛み締めたような彼の声音から、何となく、そう思った。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
