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『どうだった？』
「…何がだ」
『この無い世界で、お前が、どうやって生きてきたのかなって』
「…別に、普通だ。大したことはしてない」
『恵里サンは？』
「多分、普通に暮らしてる」
『中村サンとか…江島研究室の人たちも？』
「知らん。マァ、神崎が事を起こさない限り、普通に生きてるんじゃないか」
『…そっか』
兄さんが今居る場所はアメリカだ。勿論生きていて、今は大学院で研究を進めていると、数ヶ月前に彼の口から聞いた。つまり清明院大学とは何の関係も無く、ましてや江島研究室とは全くの無関係だ。
恵里サンや中村サンが昏睡状態になったり死んだりしたのは、兄さんの実験ありきの事象。つまりそれが無い限りは、彼らは真っ当に、普通に生活していけるのだろう。私がアレコレ心配する必要もない。
「お前の方は」
『私も…マァ、普通だよ』
「優衣や城戸は」
『ちゃんと幸せに…普通に生きてるよ』
「…そうか。生きてるんだな、ちゃんと」
最期のライダーとなった彼は、ライダーの中で誰よりも多く、死というモノに直面した。優衣が消滅する様も間近で見届けて、真司の死を見届けたのも彼なのだ。新しい命を手に入れたのも、他のライダーが死んだことの裏付けにもなる。
だからこそ、彼のその言葉には、胸が締め付けられるような重みがあるのだろう。
『花鶏に来てたんだから、優衣とは会ってるんでしょ』
「客としてな。何も覚えてないようだったから…下手なことは言ってない」
『ありがとう。…無理に、思い出させたくはないんだよね』
「じゃあ、覚えてるのはお前だけか」
『今のところは。だから…蓮が覚えててくれて、良かった』
ライダーバトルの記憶を持っているのは自分だけ。同じ時を過ごしたハズの人間も何も覚えていない。
ソレに対する寂しさや心細さをを零せば、彼はほんの少し、納得したような表情を見せた。それに、彼も同じような心持ちだったのだとは、自然と理解が及ぶ。
「俺もだ。…ライダーバトルの存在は、自分の記憶しか実在した証拠がない。探してみようかとも思ったが…狂人と思われるのは御免だからな」
リセットされた世界でも未だ、ライダーバトルというモノは彼を苦しめてしまったらしい。
ソレに対する謝罪の言葉を零せば、彼は｢馬鹿か｣の一言で私を一蹴した。こっちは真剣なのにと思ったけれど、その顔に笑みが浮かんでいるから、私を安心させるがため言った言葉なのだろう。相変わらず、分かりづらい優しさを持ち合わせている男である。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
