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隠し通すつもりだったのだ。現に、私はリセットされたこの世界で、生まれてこの方ずっと隠し通してきた。
十年以上もの間、家族にも同僚にも隠し続けてきたライダーバトルの記憶…しかしその片鱗を、私はいとも簡単に、目の前の人間に吐露してしまったのである。
「…覚えてて、くれたんすね」
しかし、由良サンは言った。
その言葉に、彼もまた、ライダーバトルの記憶を持っていると理解する。
積もる話は沢山あった。
ライダーバトルに巻き込んだ謝罪もしたければ、再び会えたことに対する喜びも伝えたかったのだ。咄嗟に言葉することは叶わないけれど、伝えたいことは沢山あるハズだった。
そしてそれは、由良サンとて同じだったのだろう。彼の心の内は分からないけれど、｢少し話しませんか｣と言って、彼は場所を変える提案を口にしたのである。
勿論答えはYES。
渡りに船とあらば断る謂れもなかったので、私達は薄暗い、人間の体が三つ転がった(間違っても死んでいるワケではない)路地裏を抜けて、心地よい騒がしさに包まれた公園へと足を運んだ。
由良サンの厚意に甘えた結果、私の手の中にはカフェオレの入ったスチール缶が収まっている。
数十メートル先には追いかけっこをする小学生の集団が見えて、横に座る由良サンはその様を眩しいモノでも見るみたいに目を細めて見詰めていた。その柔らかい表情に、彼の性根が木漏れ日のように優しいことを改めて実感する。
｢また会えてよかった｣
｢巻き込んでごめんなさい｣
脳内を整理しながらそれらの言葉を少しづつ告げれば、
｢俺もです｣
｢気にしないでください｣
と、彼ははにかみながら告げる。それからリセットされた世界でのお互いの近況なんかを笑いながら話していれば…ふと、彼の纏う雰囲気が変わったのを感じた。
「Aさん」
『…由良サン？』
何かを決心したかのように、由良サンの口から紡がれた私の名前。
私は条件反射で大した思考も行わないまま、彼の方へと視線を向けた。
『…』
そして、固まる。
何故って、彼の痛い程に真剣な目が、誤魔化せないくらいに私の瞳を射抜いたからだ。
彼の纏う雰囲気が変わったと左の半身で感じたその時から、彼の視線はこちらに向けられていた。その想像は、きっと自惚れなんかじゃない。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
