由良五郎 END ページ42
一言で言えばツイてない日だった。
アラームを掛け忘れていたらしく、30分の寝坊をかましたり。
玄関から一歩踏み出した瞬間、ヒールが折れて履き替えたり。
バイクのタイヤがパンクして、午後からの取材に歩きで行くことになったり。
そして今、
「オイオイ、アンタ美人じゃねェかァ」
如何にもといった雰囲気のチンピラ共に、路地裏にて絡まれたり。
『……』
バイクが使えないからと、普段通らない近道へ足を伸ばしたのが悪かった。
さっさと帰りたい、という、数分前の私の小さな欲が悪かったのだ。
行く手を阻むように立つのは、昼間から相当のアルコールを摂取しているらしい男三人。その足元も覚束無い様子に、酔っ払い相手なら勝てるかもしれないという思いと、人数的に厳しいかもしれないという思いが交差する。
「無視すんじゃねェ！」
しかし、私が次の行動をアレコレ考えている最中、相手はとうとう痺れを切らしたようだ。
『ッ、』
右の手首が力一杯握られて、そのまま相手の方に引っ張られる。
咄嗟に重心を後ろにやって耐えれば、案の定と言うべきか、私の腕を引っ張った当人は怒り顕にした。分かりやすい｢あぁ？｣という威嚇の声と共に、私の腕を掴むとは逆の腕が振り上げられる。
あ、マズイ。
分かりきったことを脳みそが思考して、しかし時は既に遅し。
今からできる抵抗も見当たらず、一秒後には自らを襲うであろう痛みをやり過ごすため、私は咄嗟に目を瞑った。
「よせ！」
しかし、痛みより前に届いたのは、聞き覚えのある声とセリフ。
「その人に触れるな」
声の主は、目の前に立ちはだかる男達の更に向こうで、大通りを背にして立っている。
その姿には見覚えがあった。ずっと昔…リセットされる前の世界で、確かに目にした姿そのものだったのだ。
彼の言葉は、私に安心感を覚えさせた。
何故って、彼が敵の絶えない敏腕弁護士…北岡サンのボディーガードを務めるほどの腕っぷしを持ち、どこまでも優しい人間だと知っていたから。
嗚呼、助けてくれるのだな、という自惚れにも等しい思考を脳が行い、しかしその予想通りに、目の前の男達は彼の手によってその場に倒れてゆく。
『……由良サン、』
間違えた。
そう思ったのは、彼がライダーバトルの記憶を持っていない可能性も十分にあったからだ。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
