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一悶着がありながらも共に食事に行くことは決まり、現在は佐野の車の中。
彼が助手席に座ったので、私は流れで助手席へと収まった。あの時と違って自ら運転するのかと聞けば、ライダーバトルの話とか聞かれたら困るから、と彼は言う。確かに、至極真っ当な理由である。
『…佐野』
「…何？」
『巻き込んで、ごめん』
信号待ちの最中、私が漏らしたのは謝罪の言葉だ。
ライダーバトルに起因する、いくらしたって足りない、幸せを奪ったことに対する謝罪だった。
『全部、私達兄弟の問題だった。なのに関係ない人間を沢山巻き込んで…それこそ佐野なんか、ライダーにさえならなければ、きっと幸せに暮らせたのに』
「…俺はそんなこと、思ってないんだけどなぁ」
『……エ？』
「そりゃあ嫌なことだってあったし、ライダー辞めたいって言ったこともあるけど…悪いことばっかじゃなかったから」
『どうして、』
「だって、Aちゃんに会えたじゃん」
バチリと音を立てて目が合って、そのまま、脳みそに刻まれるように告げられた言葉。
私はその瞬間、辺りの時間が止まったような錯覚を得たのだ。
後ろからクラクションを鳴らされて、青信号に気付き焦った佐野が再び車を発進させて…周囲の時間が動き出して尚、一度高鳴った鼓動は収まる様子がない。
「ライダーバトルがなかったら、ライダーにならなかったら…多分俺、Aちゃんに会えなかったし」
アクセルを踏んだまま、ハンドルを手にしたまま…視線は進行方向に向けたままで、佐野は言葉を紡ぐ。
ソレが先程の言葉の続きであるということは、その真剣な声音から察することが出来た。
「それにさ、俺、Aちゃんのこと覚えてたからこそ、今こうやって社長やれてるんだよ」
『え…』
「あの時俺、勘当されたって言ったでしょ。ソレ、俺がマトモに勉強しようとしないで遊び呆けてて、社長に相応しくないって思われたからだと思うんだよ。だから俺、今度こそ真っ当に頑張ろうって思って」
あの時というのは、ライダーバトルの渦中の、あの一夜のことだろう。突然花鶏に現れた佐野に連れられて、食事を共にした夜のことだ。
「Aちゃんのおかげだよ。Aちゃんとまた会えた時に、胸張って隣に居たかったから…」
『…ソレ、は…私のおかげじゃないでしょ。佐野が頑張ったから』
「そういうところ」
『え、』
「好きだよ、Aちゃん」
車は、いつの間にか、止まっていた。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
