佐野満 END ページ38
『佐野商事…ですか』
早朝のOREジャーナル。
取材、遅刻、そもそも出勤には早い時刻であること…様々な要因が重なり、現在この場に居るのは私と編集長の二人だけ。そんな中彼から告げられたのは、次なる取材の内容だった。
「そうだ。最近売上を伸ばしてるんだが、ソレが新社長の影響らしい」
『新社長？』
「嗚呼。しかもまだ若いってのに、その手腕を買った父親が社長職を譲ったとか…マ、やって欲しいのはインタビューだな」
『…はァ、成程。よく取材受けてくれましたね』
「マァ俺もダメ元だったんだがな？なんかヤケに快くオーケー貰って…そう、お前のこと指名して来たんだよ」
『エッ…』
「だから、元々ウチの購読者なんじゃねえか？お前の記事好きだったんだろ、きっと」
じゃあ後頼んだわ。彼はそう言って、日時や場所が刻まれた紙切れを私の手に握らせた。
ソレに分かりましたとだけ告げて、次の瞬間、私の脳みそは必死になって困惑からの脱却を試みる。
佐野商事。
私の記憶が正しければソレは、仮面ライダーインペラーとして戦っていた佐野満…彼の父が経営をし、後に彼も社長に就任した会社の名前である。
そして、編集長が話した"新社長"のこと、そして取材において私を指名してきたこと…それらを鑑みれば、今佐野商事のトップに座しているのは、私の記憶の中にいる佐野そのものなのではなかろうか。
この取材を課せられた時、私の脳は即座にその思考に至ったのだ。
しかし疑問も存在する。
だってリセット前の世界で、佐野は確かに、父が死んだことによって自動的に社長になったのだと言っていた。だと言うのに今の佐野(仮定)は父親直々にその社長の地位を与えられ、更には社の売上をぐんぐん伸ばしているというでは無いか。
私が取材をする相手は佐野なのか、はたまた名前や状況が似ているだけの別人か。
『この度は快く取材を引き受けて下さりありがとうございます。よろしくお願い致します』
「こちらこそ」
その答えは前者だった。
取材先で顔を合わせたその相手は、確かに、私の記憶の中の佐野満本人だったのである。
『ではお父様から社長という立場を受け継いだ時の心境は如何でしたか』
「そうですね、やはり父の背中を見て育ちましたから…」
しかし思っていた以上に、取材は何のハプニングもなく進行した。
佐野は何かを言ってくることはなく、私もわざわざ何かを口に出すことはなく…普通の取材と同じ心持ちで、終始彼に向き合うことが出来たのだ。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
