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「Aちゃんも、僕のこと好きだよね。好きって言ってくれたよね。僕も好き。もう、殺そうとなんてしないから」
束になった髪の間を覗き込めば、彼は、捨てられた猫のような目でこちらを見詰めていた。
言葉を紡ぐ声が震えているのは、雨によって体が冷えたからか、否か。
それでも、その言葉に確固たる意思が込められていることは理解できた。ライダーバトルに参加していた数ヶ月と、リセットされた世界で過ごした数年間…その間で脳裏に飽和した感情を、一つ一つ整理して、彼は私に伝えようとしてくれているのだろう。
その様に言いようもない愛しさが募るのは、私達の身に起こった荒唐無稽な物語に、少しだけ、酔っているのかもしれない。
「僕とずっと一緒に居て。死ぬまで離れないで」
仕方ないから、この、愛に飢えた捨て猫のような男に…彼の気が済むまで、付き合ってあげようか。
『…うん』
傘を持っているとは逆の手を持ち上げて、彼の肌に張り付く髪を払い、目を合わせる。
『私も好きだよ、東條。…付き合おうか』
私の瞳と何の隔たりもなくかち合った彼のソレが、一瞬、これでもかと見開かれた。しかしそれも次の瞬間には、何かを堪えるかのように細められる。
『…東條、』
「…付き合う？」
『うん。…嫌？』
「…ううん」
雨に濡れた彼の頭が、私の肩の辺りにコツンとぶつかる。私の手を包んでいる手に更に力が込められて、もう片方のソレが、私のジャケットの端を控えめに握った。
東條の呼吸は荒く、肩は震えている。片腕を回して背中をさすってやれば、それは一層顕著になり、感情の氾濫が始まっていることは何となく察することが出来た。
ソレに呼応するように、私の視界も少し歪む。
「一緒に居てくれる？」
『うん』
「ずっと好きでいてくれる？」
『うん』
「……そっか、」
震えた声と白い息が、滑り落ちてゆく口の傍。
彼の頬を、雨が涙か、一条の雫が伝った。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
