東條悟 END ページ35
今日は一日雨が続くでしょう。
寝起きの脳みそで聞き取ったアナウンサーの声に従って、先月買ったばかりの傘と共に出社した朝。連続放火事件について調べるため顔見知りの心理学者へ取材をした昼、ソレを記事に纏め編集長へ提出した夜。
ジャーナリストとしてごく一般的な一日を過ごした後、私は未だやまない雨の中を自宅へ向かって歩いていた。
バイクも車も使わず徒歩で移動しているのは、今日の仕事終わり、令子サンと共に食事をしたからだ。場所は前々から行こうと話していた、最近できた隠れ家チックな居酒屋である。
マァ要するに、ほんの少しだが酒が入っているのだ。さらに言えば、職場から家までとなると遠いけれど、職場から店まで、そして店から職場までは徒歩でも十分移動できる距離だった。雨という徒歩を踏みとどまらせる要因もあったけれど、"たまの運動といいだろう"という思考に背中を押され、私は徒歩での帰宅を選択したのである。
街灯の光がアスファルトに溜まった雨水に反射して、イルミネーションのようにすら思える帰り道。
私から向かって右の位置には、コンクリートで舗装された、深さ幅共に5メートル程の窪みがあった。その底には申し訳程度に、浅い川が流れている。川というよりドブと形容されそうなソレは、私にとって、記憶に濃い光景であったのだ。
何を隠そうココは、過去、優衣を探して家を飛び出し、ライダーバトルが行われただろう痕跡を目にした場所。おそらく浅倉と東條とが戦い、敗れた東條が息も絶え絶えで逃げ込んだ場所である。
そういえば、東條はこの下に落ちたんだっけ。
真冬の出来事だったから、きっと寒かったことだろう。ライダーバトルの傷も転落したダメージもあったから、あの時の彼は、酷く苦しかったに違いない。
今、彼はどうしているのだろうか。このライダーバトルの無い世界でどう生きているのだろうか。
ライダーバトルのことを覚えているのか、自らを愛してくれる人は見つかったのか、英雄というモノに執着しては居ないか。
それなりに深く関わった人間であるから、やはり心配というものは浮かんでくる。
叶うのなら、今彼が、あの冬の夜のように苦しい思いをしていませんように。
そうして再び帰宅の足を進めようと、視界を川底から前方へ移した時だった。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
