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『芝浦？』
「…なんかアンタ、変な理解してそうだから言っとくわ」
『何』
「じゃあ聞くけど。俺がアンタをここまで引っ張ってきた理由、何だと思う？」
『え…今自分で言ってたでしょ。リセットされたのが嫌だったって』
「嫌って思う理由は？」
『エ…？…自分の記憶と違うのが面倒だから？』
「ハイ、馬鹿」
『なッ…』
真面目に考えた末の結論をさも当然とばかりに貶されれば、こちらだって小さく怒りを覚えざるを得ない。
「ホント馬鹿。頭は悪くないし仕事だってできるし行動力も決断力もあるのに何でそういうトコだけ勘悪いの？」
『貶されてんのか褒められてんのか分かんないんだけど』
「貶してるし褒めてんの」
しかしその怒りが即座に沈静化したのは、彼の顔に浮かぶのが嘲笑などでは決してなく…寧ろ、悲しげに見えたからである。
「ホントに忘れてるワケ」
『…芝浦？』
「好きだって言ったじゃん。今までも、これからも、ずっとアンタのこと好きだって」
『……あ、』
後頭部を殴られたような衝撃だった。
それと同時に奥底から記憶が引き摺り出されて、彼の行動と、パズルが完成するかのように繋がっていく。
「何、ホントに忘れてたの？」
『…や、その…今、思い出したというか』
「忘れてたんじゃん」
『完全に忘れたワケじゃないって』
「マァ別にいいけどさ」
『エ？』
「忘れてようが何だろうが、今度こそAのこと落としてみせる。もう未練なんて残したくないから」
良く気付かなかったモノだ。コレでは、馬鹿と言われても仕方がないかもしれない。
そんなことが次々思考されて、しかしそれが終着を迎える前に、芝浦によって更なる情報が留まるところを知らず注がれる。
「A。俺、アンタのこと好きだよ。すっごく好き」
『…ッ』
「俺と、付き合って」
どうしよう。
なんて答えれば良いんだっけ。
決まってる。YESかNOか二つに一つ、それだけでいい。
じゃあ、私ってコイツのことどう思ってるんだっけ。
散々職場荒らして、引っ掻き回して、アッサリ消えて。最低なヤツかと思ったら私の好きな物否定しなかったし、寧ろ、女の子は好きな格好してる時が一番可愛いとか、お手本みたいなこと言ってのけて。
コイツが死んだ時、私、どう思ったんだったっけ。
『うん』
「……エッ、」
『こちらこそ』
ぐちゃぐちゃの脳内が着地した先は、"私、芝浦のこと好きだったんだな"、なんて、陽だまりみたいに素朴で暖かい場所だった。
随分と、気付くのは遅かったけれど。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
