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「…何、やっぱり忘れたワケ？」
再び見た彼の表情は酷く悲しげで、私は、何か間違えた返答をしたのだと気付いた。
ソレによって、今までの不安や考え事は私の脳から弾き出され、"これ以上彼を悲しませてはならない"という感情が占領する。
「似合ってるよ。流石は俺の見立て」
故に私は流されるまま車に乗り、服を与えられ、予約済みだというレストランへ足を運ぶこととなったのだ。
「どう、美味しい？」
『そりゃ、勿論…』
このレストランは確か、最近オープンしたとかいう本格的なイタリアンレストランだ。
記者という仕事柄流行に敏感という自負はある。そしてこの店は、OREジャーナルとして取材を試み…しかしその人気ぶりから中々予約が取れず、取材を断念せざるを得なかった店でもあった。
そんな店を予約してくれたとあらば、私の驚きも当然だろう。
『…そう言えば、この服』
「あ、気付いた？」
『マァ…ウン。あの時買ってくれたのと同じだよね』
会話の糸口を見付けようと頭を捻って浮かんだのは、先程彼に与えられた、現在私の身を包む一式だった。それらは、深い記憶に刻まれた芝浦とのデートにて、私が一目惚れしたハイヒールと、ソレに合わせて芝浦が与えてくれたコーディネートと一致するモノである。
「そ。時間が巻き戻ったのか何なのか分かんないけど、ライダーだった頃の何もかも無くなったみたいだったから」
持ってないでしょ？その服。
彼の真っ直ぐな確認に疑いもなく首を縦に振る。
彼の言う通りだ。
見つければ自腹でも買っていただろうけど、今の今まで見たことがないのだから、時間が巻き戻ったという考察はきっと正しいのだ。
「じゃあ俺とのデートとかも全部無かったことになってるんだろうなって思ってさ。そんなんムカつくし、嫌だし、だったらもう一回やり直そうって」
彼が続けた言葉。
ソレに、今までの彼に対する疑問の全てが解消されるような心地がした。
『…嗚呼、成程』
この世界は文字通りリセットされ、ライダーバトルに関連する出来事の一切が存在しない。自分の記憶にある事象でさえ、最初からなかったことになっている。思えば、ソレは相当なストレスになったっておかしくないのだ。
ならば確かに、自らの記憶と現実とを出来る限り近付けようと努力するのは、納得いくモノだったのである。
そんなワケで幾らか晴れた気持ちで再び視線を芝浦へと戻せば、彼は私とは違い、何やら不機嫌そうな表情を浮かべてこちらを見詰めていた。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
