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「覚えてんじゃん」
記憶の中そのままに彼は笑って、私の手を引っ張り外へと連れ出す。
背後から焦りの言葉や制止の言葉、恋愛ドラマさながらの黄色い声が聞こえるが、それらに弁解をする間もない。私の体はあっという間に、晴天の下に晒されることとなった。
『芝浦、』
「…」
『芝浦ッ！』
本格的な抵抗を始めたのは、彼が私の体を車の中へ押し込もうとしたから。
そもそも、私が唐突な訪問にも関わらず芝浦の後を比較的従順に着いてきたのは、何か話したいこと…ソレも他の人間がいたら都合の悪い、主にライダーバトルに関することがあるのだと思ったからだ。しかし予想通りであれば、もう話ができる状況は整っている。だと言うのに、話も切り出さず彼が思いもよらぬ行動をしたから、私はようやく口を挟んだのだ。
「何？」
『こっちのセリフだって…』
ようやく動きを止めた芝浦に、一体何がしたいのかと、彼の目的を探ろうと試みる。
脳の大半が困惑で埋まっている私に対して、彼は至って冷静だった。私の焦りようが理解できないとばかりに、至極当然のことを告げる声音で、芝浦は私の問いに言葉を返す。
「アンタと話したかっただけに決まってるでしょ。昔の記憶辿って仕事場突き止めて、あのバカが居ない日調べて…ようやく、会えたんだから」
彼が"あのバカ"と形容したのは、きっと真司のことだ。
記憶が残っているかもしれないと考えたのだろう。ライダーであった自身に記憶があるから、他の社員よりも用心する必要があると思ったのかもしれない。
それから彼はもう一度、私に車へ乗り込むように指示した。ちゃんとした場所で…それこそリセットされる前の世界でのデートのように、面と向かって話したいことがあると言うのだ。
店も予約してあるし、あの時のように服だって買ってあげるから。当たり前のようにそう言われ、私は萎縮せざるを得なかった。
『何で、そこまで』
話したいことがある。
ライダーバトルの無い世界でそう言われて、真っ先に思い浮かぶ内容は恨み節だった。
ライダーバトルの始まりから終わりまでを知った今、ライダー達に伝えたいのはやはり謝罪なのだ。あの儀式は私達家族の問題で、どう考えてもライダー達は、ソレに巻き込まれただけの被害者だったからである。
だと言うのに、彼の表情や声音からは、私に対するマイナスの感情は伺えない。
店を予約するとか服を買ってやるとか、それらは間違っても、恨んでいる相手にすべき行動ではなかったのだ。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
