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想ってくれた人間。
助けてくれた人間。
死して尚、支えとなってくれた人間。
好きなのかと問われれば、その答えは決まりきっていたのかもしれない。
何より今、痛いくらいに高鳴るコレは、その裏付けだと思うのだ。
『そう思うなら、そうなんじゃない？』
お前が俺を好きなんじゃないかと自惚れる。
私が告げたのは、その言葉に対する答えだった。
「…A」
『来る保証なんてないのに待ち続けて、戦いの間ずっと想い続けて…それが、恋する乙女に見えるなら』
認めるのは癪だけど…というより、恥ずかしいけれど。
それを意地で否定し続けるほど、自分は子供じゃないつもりだ。
「…卑怯な聞き方をしたな」
彼はカップをカウンターにおいて、それから改めて体をこちらに向けた。
ソレに応えるように私も、彼の方へ意識を集中させる。
「あの時俺は、お前の記憶に残ることだけは許して欲しいと言った。好きになってくれなんて言わないと。…だが俺は、それ以上を願ってしまった」
『…』
「好きだ。愛している。…俺と、付き合ってくれないか」
互いよ手の距離は、ほんの一センチあるかないか。だと言うのに、雰囲気に呑み込まれたっておかしくないのに…彼はソレを重ねず、ただ、私の方を見詰めている。
その振る舞いから、瞳から、痛いくらいの誠実が伝わってくるのだ。ずっと前から、そんなことは分かりきっていたけれど。
『こちらこそ』
「…A」
『私も好きだよ。半年…それ以上…ずっと想い続けるくらいには』
それからようやく、彼の手は私のソレに重なった。
二周りほど大きな彼の手が私の手を掬い上げて、控えめにキュッと握る。ソレは暖かい、何よりも求めたモノであったのだ。
『…いいの？』
「嗚呼。やっぱりコレは…お前に持っていて欲しい」
薬指に嵌められたのは、あの時と同じく、彼の人差し指にあった指輪。私の指には大き過ぎるけれど、もはやソレは、私にとって無くてはならないモノである。
ネックレスにするよ、と言えば、それは良かったと彼は笑った。
それから、と前置きをしながら彼は、指輪に通った私の指を、親指の腹で慈しむように撫でる。
「お前にピッタリの指輪を買いに行こう」
『え…』
「お前のこの指に嵌めたいんだ。…嫌か？」
『…真逆』
彼の言葉に柄にもなく驚いて、その顔を覗き見れば、案の定自慢げに…ともすれば嬉しげに口角が上がっている。
してやられた。
しかしソレに、寧ろ対抗心を燃やしてしまうのが、私という人間なのだ。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
