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『終わったんだよ…』
戦いは終わった。
全部私達のせいだった。私達兄妹の問題だった。ソレに多くの人を巻き込んで、命と未来と夢を奪った。謝って済む問題じゃない。手塚にだって、謝りたいことが沢山ある。
『手塚、ごめん』
「お前が謝ることじゃない」
『それでも』
「…」
『あと…ありがとう』
感謝もあった。
手塚の存在は、いつまでも私の支えだった。
彼の気持ちを裏切るような行動をして、それ故に自分を責めることもあったけれど、それ以上に彼は私の背中を押す存在だったのだ。
首から下げ続けた指輪を握る度、私が何度一歩を踏み出すことが出来たことか。
『伝えたかった』
「…A」
『会いたかったんだ…』
記憶が戻ってから、手塚の存在を思い出してから、この喫茶店の思い出が刻まれてから…ずっと、この場所に足を運んでいたと。
ただ会いたい一心で、何度もこの場へ赴いたと。
「…そうか」
伝えて、顔を上げれば…彼は、笑っていた。
「謝る必要は無い。教えてくれて、俺に会いたいと思ってくれて…戦いを止めてくれて、ありがとう」
『…手塚、』
「…頑張ったな、A」
マァ、俺が言えたことじゃないだろうが。
言って、彼は丁度運ばれてきたコーヒーに手を付けた。その笑顔は、少し照れくさそうである。
目の前の、夢みたいな光景に、今までの全てが報われたような心地がした。
ライダーバトルを止めるために駆けずり回ったことは勿論、この半年、手塚をひたすら待っていたことも、全て。
「それにしても…ずっと俺を待ち続けてくれたとなると、少し、自惚れそうだな」
再び彼が口を開いたのは、心地よい沈黙が数十秒経過してからだった。
「半年、俺を想ってココに来てたんだろ？」
『…ウン。悔しいことに、待ち人は私の事覚えてすらいなかったらしいけど』
「…この場所を思い出したのはつい昨日なんだ。…すまない」
『別に怒ってるワケじゃないんだよ。こうして来てくれたのには…変わりないし』
「そう言われると…ますます自惚れそうだ」
『何？』
「お前が俺を、好きなんじゃないかと」
『…』
「あの時俺が言った言葉…忘れたワケじゃ、ないんだろう」
覚えている。忘れるワケがない。
黒い空間で過ごした最期の時に、与えられたあの言葉。記憶に残ることだけは許して欲しい、と零した彼のソレは、深く記憶に刻まれたのだ。
好きだと、愛していると、散る間際、私に、その心の内を伝えてくれた。アレは何よりも純真で、暖かい愛の言葉だった。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
