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こんなにも彼に会いたいと願うのは、伝えたいことがあるからだ。私だって、何もライダーバトルに関わった全ての人間として話をしたいとは願っていない。殆どの人間に対して私は、ただ幸せに暮らしてくれればそれで良いと思っている。
彼に会いたいのは、彼が心からライダーバトルの終結を願い、動いていた人間だと知っているからだ。同じようにライダーバトルを止めようとした私や真司とは違い、彼はずっと前から覚悟を決め、戦いを止めるためどんな苦難も飲み込んでいた。
私は、そんな彼に会いたかったのだ。
伝えたいことが沢山あった。
助けられなかったこと、ライダーバトルに巻き込んだこと、迷惑をかけたこと…沢山のことを謝りたかった。手塚の存在が、死んで尚私の支えになった…その、感謝を伝えたかった。彼が何より望んだライダーバトルの終結が果たされたこと、その顛末を伝えたかったのだ。
伝えたいことは山積みで、私はただ手塚に会いたかった。
「こちら、お先にコーヒーになります」
『ありがとうございます』
リセットされた今の世界でも、彼は彼のままなのだろう。
きっと、彼は他に席が空いているなんて気にもとめず、私の隣に座るのだ。そうしてカフェイン抜きのコーヒーを頼んで、こちらを見て、運命だなんて笑ってみせる。占いで出たのだと、俺の占いは当たるのだと…落ち着いた低い声で、私に深い海のような安心感を与えるのだ。
「隣、良いか？」
そうだ、確か、こんな声だった。
『……え、』
聞き覚えのある声が鼓膜を揺らしたのは、熱いコーヒーを喉に流し込んで、カップから口を離したその瞬間。
一瞬体が動かなくなって、それから、油を刺し忘れたブリキのような挙動で、私は声が降ってきた方向へ視線を向ける。
「…構わないか」
控えめな笑顔も、慈愛を帯びた眼差しも、目を引く赤いジャケットも…私の記憶に刻みつけられた姿そのままだった。
どうぞ、という声は震えていたかもしれない。ソレが相手にどう映ったか知らないが、彼はあの時の通りありがとうと言って、コーヒーのカフェイン抜きを頼んで、それからこちらへ視線を向けた。
『…夢？』
「そう思うか？」
『正直』
「奇遇だな」
『何が、』
「俺も、今この瞬間が夢じゃないかと疑っている」
『…』
「お前に会えたことが、夢みたいで、何より嬉しいんだ」
『…手塚、』
「戦いは、終わったんだな」
『……うん、』
目の前が滲む。
体を襲うのは歓喜と安心だった。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
