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最初に還るライダーなら、一生忘れない。
そう、彼が嬉しそうに言った瞬間を良く覚えている。
でも、それは決して、最初に還るライダーだからなんて陳腐な理由じゃない。
彼に助けてもらったあの時から、微かに芽生えていた感情が、ずっと、胸の奥に巣食っているからだ。裏切られたと思うようなこともあったけれど、それでも尚捨てきれなかった気持ちが、ずっと。
『…はい』
こちらに向けられた彼の手のひらに、自分自身のソレを重ねる。すれば彼はもう片方の手を、私の手のひらを覆うようにして被せた。
手のひらを包む人肌の温度が、心地いい。
『ライダーバトルに巻き込んで、ごめんなさい』
「いいんです。…それに私は、ライダーにならずとも、既に人の道を外れるような行いをしていましたから」
その言葉に思い出したのは、須藤サンが死んだ時、蓮や真司から告げられた言葉達だ。
彼が手を染めていたあくどい商売や、その末に行った殺人。ライダーになった後激化した人の道を外れた行動は、確かに、ライダーになる前から行われていたものだった。
「例えライダーバトルがなくても、私はあの時、貴方の隣に居る人間として相応しく無かったんです。だからこそ、時間が巻き戻ったことに気付いた時は感謝すらしました」
『…感謝？』
「貴方に見合う人間になる、チャンスが与えられたと思ったんです」
しかし、彼の言葉や表情、柔らかい声音や雰囲気…それらから、今の彼は至極真っ当な警察として生きているのだと察することが出来た。
勿論、リセット前と同じように生きていれば、同じような人生を辿ることは請け合いである。なれば彼は、多かれ少なかれ努力をして真っ当な人生を歩んでいるということだ。そしてその努力のキッカケや目的が…私だと言うのなら、嬉しいことに違いない。
「話をしましょう。私はもっと、貴方のことを知りたい」
『…勿論。代わりに、須藤サンの話も聞かせてくださいね』
「では、どうぞ」
須藤サンの手によって開かれたドアから、導かれるままに車へ乗り込む。
その仕草は、記憶の中と全く変わっていない。
『ありがとうございます』
あの時の私であれば、想像に容易い未来であろう現状。しかし戦いの日々を乗り越えた今となっては、まるで奇跡のような、泣き出しそうなくらい幸せな瞬間だった。
溢れるほどの幸せが、私の脳を埋めつくしていた。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
