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須藤サン。
須藤雅史サン。
リセットさせる前の世界で仮面ライダーシザースとして戦い、命を散らした人物。他のライダーと同じように兄さんによって戦いに巻き込まれ…契約モンスターであるボルキャンサーに、最期は捕食された人。
終わりのないライダーバトルの中で、初めて、私の中に還って来た人でもある。
『あ…その。助けてくださって、ありがとうございました。ぶつかって、すみません。…では、』
「待ってください」
『…何か、』
「Aさん」
『…！』
「その様子だと、覚えていてくださってるんですよね」
逃げ出すように踵を返して、エントランスへ再び足を踏み出した時。左腕が背後にいた彼によって掴まれて、私はもう一度足を止めることとなった。
同時に須藤サンから掛けられた言葉は、彼がリセットされる前の…ライダーバトルの記憶を持っていることを裏付けている。
「今日は、昨夜の強盗未遂事件の関連でこの場所へ？」
『…ハイ。ということは、』
「ええ、私もです。丁度今、目的は遂行出来たところでして。どうです？これから一緒に食事でも」
仕事場に戻って記事を書く、という先程までの最優先事項が脳を過る。しかし須藤サンの｢積もる話もあるでしょうし｣という念押しの言葉に納得して、私は彼について行くことを決めた。
二人揃ってエントランスを出て、少し離れた駐車場にポツネンと停めてある彼の愛車。それに確かな見覚えを感じて、なんだか胸が熱くなる。
停めてある車まで後1メートル。
木漏れ日が照らす居心地のいい所へ差し掛かった時、須藤サンは足を止めた。
「Aさん」
『…須藤サン？』
その顔に、ハッとする。
微かに目を細めた、彼の酷く優しい表情。ソレが、記憶の中の彼と次々に重なってゆくのだ。
初めて出会った夜、再開した病院。終着点であると告げ、彼が安堵を見せた瞬間。優衣が攫われた先で想いを告げられた時。初めて目にした黒だけの世界で、彼が、私の腕の中で消え去った時…。
「Aさん、貴方のことが好きです。初めて出会った時から、ずっと」
『…あ、』
「もう一度、貴方の手を取ることを許してくれますか」
す、と持ち上げられた彼の手は、あの時私がどうしても引き止めたくて、引き止められなかったソレそのものだ。
黒い世界で粒子となって立ち上って、為す術なく目の前から消え去ったソレなのだ。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
