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「…お前は」
『勿論、好きだよ。愛してる』
「…そうか」
『そっちは？』
「……好きだ」
ぎこちなく、ようやく告げられた答え。
その言葉の意味を真に理解しているのかは分からない。私が教えたことを鵜呑みにして、ただ言ってみただけに過ぎないのかもしれない。
けれど、今はそれでも良いだろう。彼が彼なりに考えて、その上でこちらに歩み寄ろうとその言葉を告げたなら…それは今、彼にできる最大級の愛情表現なのだと、私は思う。
『腕、離して』
「は？」
『お前の顔、見えないんだよ』
言えば、一瞬体の拘束が解けて、ぐるんと体が回転する。
足がもつれそうになって一瞬息を詰まらせれば、次の瞬間、目の前には先程まで視界の端にあった蛇柄が一面に広がっていた。
「俺とお前は同類だからな」
その表情には覚えがあった。
一言で言うなら、ソレは笑顔である。しかし不敵な･好戦的なモノでは決してなく、酷く柔らかい、人によっては彼らしくないと形容しかねない笑みだった。
彼がその顔を見せるのは、決まって私と二人きりの時だ。彼の隠れ家で語らった時だとか、フェリーの薄暗い階段で身を寄せた時だとか…多分、同類である私だからこそ見せてくれたモノだったのだろう。
その、同類という言葉。
お互いの繋がりを強固にし…しかしその一方で、その言葉の枠に私達を填める言葉。
故に微妙な反応を返せば、彼の顔に不機嫌が浮かんだ。
『間違ってる、とは言わないけど…もっと別の言い方がいいな』
「じゃあ何だ」
寄せられた眉間に、疑わしげに細められた瞳。
それらを隠すようにして揺れている彼の前髪を、人差し指でひょいと避ける。
『恋人かな』
笑いながら言えば、彼は目を見開いて、それから数回瞬きをした。
その様に効果音をつけるのなら、さしずめ"キョトン"とかだろう。
相変わらず、時々彼は小動物のような、幼子のような表情をみせるらしい。人なんて軽々と呑み込むような大蛇…そんなイメージすら連想させる彼であるが、時折見せる無防備な様はなんとも可愛らしいモノである。
ソレはおそらく、彼が一般の人間が通るべき成長の段階を踏んでいないからなのだろうが…マァ、ソレはこれから辿っていけばいい話だ。
「ッは、」
彼の笑い声が聞こえて、もう一度、今度は正面から抱き締められる。
彼の腕が痛いくらいに締め付けてくるものだから、こちらも負けじと、背中に回した腕に力を込めた。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
