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「一生掛けて、Aちゃんのこと幸せにする。Aちゃんに救われた分、今度は俺がAちゃんを支えて、守るって誓うから」
ほんの少し体が離れて、距離にして5センチの距離で、視線がかち合う。
「俺を選んで欲しい」
彼の、今までで一番の、誠実な瞳。
『…私も、』
答えは決まっていた。
記憶の奥底に埋もれていたけれど、きっと、ずっと前から。
『…北岡サンが、好きです』
彼は私の、笑った顔が好きだと言ってくれた。だから、泣きたくなるのを堪えて、精一杯の笑顔でそう返す。
ソレは奇しくも、彼と別れたあの瞬間と一致していたのだ。けれどあの時とは、状況も涙の理由も、何もかもが正反対だった。
「Aちゃん、」
彼の声と共に、頬に暖かい何かが添えられる。
『…、』
頬を包んだモノが彼の手だと気付いたのは、私の唇と彼のソレとが触れ合ったのと同時だった。
ほんの一瞬の触れ合いに目を見開いて、彼の幸せそうな顔を見た途端、再びその腕に体が包まれる。
「俺、記憶が戻ってから、あんまり無茶な依頼は引き受けないようにしてたのよ。勿論やろうと思えばできるけど…あんまりにも無理やりで、怪しまれることはしないように」
なんでか分かる？
穏やかで、少し得意げな彼の声音。ソレに、どうして？と、自分でも驚くほど柔らかな声で聞き返す。
「Aちゃんと一緒にいたかったから」
『え…？』
「あんなことしたら色々恨み買うからさ。俺一人なら別にいいけど…Aちゃん巻き込んで怪我でもさせたら、俺、自分のこと許せないだろうし」
『…北岡サン、』
「それにAちゃんの周りの人…ホラ、令子サンとかさ、そういうの嫌がるでしょ？反対されるの、嫌じゃない」
その言葉に、彼が心から私を想ってくれているのだと理解する。ソレに気恥しさと、心の底からの幸福を感じた。
令子サンが北岡サンに苦手意識を持ってるのは、内緒にしておくべきだろうか。
彼女に事の顛末を語ったらどんな顔をするだろうか。距離を取っていた相手と後輩とが結ばれたなんて聞いたら…嫌がるのか、克服するのか、どちらか。
何はともあれ、きっと、大した障害にはならないだろう。
過去の記憶を思い出してみれば…令子サンと北岡サンが仲良くなる未来も…無いワケでは無い、ハズだ。
「愛してるよ」
その言葉に、ようやく、終わりのない戦いから逃れられたような心地がした。
『…私も、』
安堵が体を襲う。
何だか泣きそうになって、誤魔化すように目を伏せた。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
