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『…巻き込んで、ごめんなさい』
ライダーバトルの始まりと終わりを知った今、ソレは何よりも伝えたい言葉だった。
「何言ってんの。Aちゃんだって被害者じゃない。それにライダーになってもならなくても、俺、病気ってことは変わらなかったんだから」
今こうやって生きてられるんだから、寧ろ俺、ライダーになって良かったって思ってるくらいだよ。
そう言う北岡サンの顔には人を安心させる笑みが浮かんでいて、ソレが本心かジョークか、いずれにせよ、彼の優しさが由来であることは理解出来た。
「それに俺…ライダーにならなかったらきっと、Aちゃんと出会えなかった」
『…え、』
「ライダーになって何より良かったのは…Aちゃんに、会えたことだし」
何か、言いたいことがある気がした。
どうしても伝えたくて、だのに、ソレが何だかわからない。けれどきっと、ずっと前から伝えたかったことなのだ。
伝えたい何かがあることを、彼の瞳を見た瞬間に思い出した。
彼の、いつか見た記憶の、そのままの瞳から。
『……き、』
北岡サン。
そう、彼の名を呼びたかった。
けれど私の声は形を成すより先に、彼の胸元に吸い込まれて途切れる。
背中に回る腕。ソレに締め付けられる感覚。
抱き締められていると気付くのに、そう時間はかからなかった。
「Aちゃん」
耳元で、彼の、数段低い声が囁く。
「好きだよ、Aちゃん。愛してる。死んで、もう一度生きて…それでも、忘れられなかった」
彼の瞳に感じた既視感。
重なった、いつかの記憶の中の彼のソレ。
思い出した。それは、ライダーバトルが集結する最後の日、彼に向けられた瞳だったのだ。
「俺の事優しいなんて言うの、Aちゃんくらいだよ。散々大人気なく言い合ったし、俺の仕事ぶりも知ったはずなのに…それでも、俺の事」
思い起こされる彼との、ライダーバトルに巻き込まれた日々。
巻き込んで、巻き込まれて、いつの間にか知った彼の裏の顔。そして、その更に裏に隠された、惹かれるには十分な、彼の優しさと強さ。
「俺さ、Aちゃんのこと、自分でも呆れるほど好きなのよ。臆病になって、最後の最後まで想いを伝えられない程度にはさ。…だから、今度こそ、後悔したくないワケ」
瞬きの間に命が奪われるあの世界で、幾度となく経験した後悔。
もう後悔なんてしたくない。その気持ちは、私にだって痛いくらい理解出来るモノだった。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
