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そうして私が記事の構想を練って手帳を閉じ、パイプ椅子から立ち上がった時。既に周囲の人間は、片手で数えられる程度となっていた。
特に急ぎの用事もなく人混みは好きでない私には、この状況は寧ろ好都合である。
もう少し人の行き来が落ち着いてから部屋を出て、それから会社に戻って記事を書きあげよう。
耳に届く記者たちのざわめきに多少の不快感を感じながら、私は立ち上がったばかりのパイプ椅子にもう一度座って、ケータイをカコカコ鳴らしながら令子サンに報告のメールを入れていた。
思いの外早く終わったから、どこかで息抜きをしてから会社に戻ってもいいかもしれない。
「Aちゃん」
思いもよらぬ言葉が掛かったのは、令子サンへのメールの文面が書き終わり、送信ボタンを押そうとした丁度その瞬間だった。
『…き、た…岡、サン、』
振り向けばソコには、先程までフラッシュを一身に浴びていた、今日の記者会見の主役とも言える人物が立っていた。
北岡秀一。黒を白にする敏腕弁護士でありながら、リセットされる前の世界で、仮面ライダーゾルダとして戦っていた男である。
「…覚えてたんだ、Aちゃん」
『北岡サン、こそ、』
「全部思い出したのは最近だけどね」
いつの間にか私は立ち上がって、彼の元へ歩を進めていた。
相も変わらず憎たらしいほど背の高い、背広が似合う人である。浮かべる笑顔は堂々として、遠い記憶に刻まれた彼のままだ。一番色濃く残っているのはライダーバトルも終わりに差し掛かった辺りのことだから…記憶と違う点を上げれば、彼の顔色が少し良いことだろうか。
『元気そうで、安心しました』
「そうだねぇ。有難いことに、思い出した記憶のおかげで病気も早い内に見つけられて…今の俺はびっくりするほど健康だよ」
『…由良サンは？』
「今でも秘書やってくれてるよ。何かと助けて貰ってるけど…俺が健康だからか、あの時ほど過保護ではないかな」
聞けば、北岡サンの現在は、私が知っているモノとは良い意味で違う、至って一般の幸せを享受するに足るモノであるらしかった。
それによって彼の周囲の人間も、私の記憶よりもずっと平和で平凡な、幸せと呼べる日々を過ごしているようだ。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
