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どうやら、令子サンは深層意識の内に北岡サンを嫌っているらしい。
腑に落ちないといった態度であるから、嫌う理由もキッカケになるような出来事も、今の彼女には無いのだろう。
実際、不思議なことに現在の北岡サンにおいて、リセットされる前…悪徳弁護士と称されていた頃ようなあからさまな不正は話題に上がらない。多少の黒い噂はあるものの、ソレは彼の腕を羨んで流した嘘…という解釈ができる程度で、彼に嫌悪を向ける決定打にはなり得ないモノなのだ。
それでも嫌っているというのならソレは、リセットされる前の付き合いが反映されているのだろうか。
「会ったこともないのに一方的に嫌うだなんて、失礼ってことは分かってるわ。だからこそ、北岡弁護士の取材は嫌なのよ。こんな考えで取材して…変なこと口走ったら悪いでしょ」
傷付ける可能性があるから離れる。互いに嫌な思いをする可能性があるなら無理に関わろうとしない。
そう考えるのは、令子サンなりの優しさだ。
ソレを知っているから私は二度目の肯定を彼女に返し、取材の予備知識を取り入れようと再びキーボードに手をかけた。
帯金物産の記者会見…その取材に向かったのは、それから二日後のことである。
「帯金物産における今回の事件は全くもって確実性が無く＿＿」
帯金物産が所有するビルの一室にて開かれた記者会見。
数々の記者とカメラのフラッシュをを前にして、北岡サンは慣れた様子で言葉を連ねていた。
「会社ぐるみでの不正事件という先入観での質問は＿＿」
堂々たる話し方には疑う余地がない。
彼の口が紡ぐ言葉を手帳に書き込みながら、私は相変わらずのその手腕に舌を巻いた。
並べられるのは隙のない理論だ。一方、完璧すぎるが故に、疑いたくなる気持ちも理解出来る。
しかし令子サンが北岡サンに苦手意識を抱えているのは、こんな些細な気の持ちようが由来ではないのだろう。彼女は何より事実を信頼する人だから、相当な証拠がなければ人を無条件に嫌ったりするなんてありえない。
とあれば原因は矢張り…遥か昔の、リセットされる前の記憶なのだろうか。
「以上になります、記者の方々はあちらの扉から＿＿」
考え事をしながらも記者会見は進み、とうとう記者たちの質問も底を尽きてお開きとなる。
満足な証言が得られた者、思い描いていたシナリオに現実が沿わなかった者…様々な人間がゾロゾロと席を立って、次第にその部屋は静寂に包まれた。
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神崎(プロフ) - 面白くて一気読みしました！そしてめっちゃ感動しました。龍騎の作品を作ってくれてありがとうございました！ (2月11日 16時) (
レス) id: 225664e10d (このIDを非表示/違反報告)
麗大(プロフ) - 最高に面白かったです…！一気読みしてしまいました！！皆が幸せになれて良かった…！！ (2月7日 0時) (レス) @page50 id: c06fac28a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - こんばんは。完全完結おめでとうございます！もう全部素晴らしかったです…！設定からラストまで本当に好きです。なちなちこ。様、約一年、お疲れ様でした！！ (8月14日 21時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年6月18日 12時
