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『優衣！』
真昼間にも関わらず、薄暗がりの地下通路。
優衣の名を叫んだのは、酷く脅えたような悲鳴が聞こえたからだ。大きく反響するその声は、彼女が発したものに他ならない。
『優衣！』
私が瞳に優衣を映した時、彼女は耳を塞ぐようにして蹲っていた。
小さな背中に走りよって、彼女の顔を覗き込む。
『優衣、大丈＿＿ッ！』
安否を確認すべく開いた口は、言葉を最後まで紡ぎ終わる前に閉じられた。思いもよらない現象を目の当たりにし息を飲んだことで、言葉を続けることが出来なかったのだ。
その思いもよらない現象は何度も見たことがあり、しかし一度も見たことがないモノでもある。優衣の体は、消え去る間際のライダーのように、粒子となって消えかけていたのだ。
『優衣ッ！』
ソレを止めようと、コートを脱いで優衣に被せ、粒子を抑えるかのように抱き締めた。
粒子となって人が消える現象は何度も見たことがある。しかしコレが現実世界で起こる様は見たことがなかったのだ。見たことがない以前に、有り得ない事象だと思っていた。
『優衣、優衣ッ！』
止まれ、止まれ、と。
必死に念じて優衣を抱き締めていると、気付く。彼女は意識を失っていたのだ。
ノイズのような、耳障りな人が消える音。ソレが不安と焦りを倍増させ、私は泣き叫ぶも同然に彼女の名前を叫んでいた。
『優衣ッ！』
そして、ふと。
『……は、』
発光と共に続いていた消滅は、なんの予兆もなく収まった。止まった、という安堵が襲うと共に、原因が分からない故の不安が沸き上がる。
優衣が消えかけた理由。
…いや、意味のわからない事象は、ずっと前から積み重なっているのだ。
兄さんが優衣のためにライダーバトルを始めたとか、しかし具体的な目標は教えて貰えないこととか。優衣がミラーワールドに入っても平気だったこととか、モンスターを操れる理由とか。
『真逆、』
その先に続く言葉は、発することが出来なかった。
この期に及んで私は、真実と向き合うことを恐れてしまっていたのである。
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りんごキャラメル@さくらぁ - 《追記》しかしそんな馬鹿なトコがかわいくて好きです。 (5月19日 22時) (
レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - 多数決のシーン、好きです…(笑) 後から浅倉さんがゆっくり手をあげるトコとか。夢主ちゃんもあげましたか…やっぱり、真司くんは馬鹿なんですよ(←酷) (5月19日 22時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年5月16日 18時
