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『ちょっと編集長！』
「あのネタ諦めねーぞ」
彼はどうやら、花鶏を仕事場にしようと考えているらしく、流れるように荷造りをし始めた。
流石にソレは看過できないと止めに入れば、彼は私と真司の方をビシッと指さして、確固たる意思を込めて言う。
あのネタ…話の流れから察するに、ソレは差し押さえられる原因ともなったミラーモンスターに関するネタだろう。
「令子も取材続けてるし、島田とめぐみも潜入取材してるらしいからな」
「潜入！？」
『何処に！？』
「北岡弁護士のトコだ」
『…北岡サン…』
北岡サンに申し訳なく思うと共に、彼女らが花鶏に押しかけなくてよかったと心底思う。
潜入取材ということは、彼女らは北岡サンとミラーモンスターとの関係を探ろうとするだろう。とあれば常に神経を削る日々を過ごすことになるだろうから…そのストレスは計り知れない。
「というワケで、ちょっとココ貸してくれ」
『そんなこと言ったって家主は叔母サンだし…』
「頼むよ！な！」
「はぁ…」
「いらっしゃいませ」
「ぅお…あ、ウチの編集長です」
「OREジャーナルの、大久保です」
「ご注文は？」
「コーヒー一つ！」
「すみません、紅茶専門店だモンですから。真ちゃん、お引き取り頂いて」
「いやいやいや何っでもいいっすよ色ついてりゃあ。あ、コンセントと何処ですかね、コンセント」
「あは、あははは…」
案の定帰って欲しいらしい叔母サンと、ソレに気付いているのかいないのかそんな素振りも見せない編集長。その板挟みになる役目を真司に押し付けて、私は数メートル離れた場所へ避難した。
何も、ギスギスした空気から逃れるためだけでは無い。一番の理由は、このタイミングで偶然、私のケータイが着信を告げたからだ。
『もしもし、優衣？』
開いてみれば、その相手は優衣。
確か彼女は先程、忘れ物を取りに店ヘ戻ったハズだ。電話をかけてきた理由がピンと来なかったが、私は特に疑問に思うワケでもなくケータイを耳に当てる。
「お姉ちゃん、お願い、迎えに来て…早く…！」
『！…どうかしたの？』
「変なの。何だか分からないけど…体が…！」
電話の先の優衣は酷く焦っていた。
その理由は分からない。しかし泣きそうな声はタダ事ではない事実を告げていて、私のこめかみを冷や汗が伝う。
『早く来て…！』
悲痛なその声に息を飲んで、背後から聞こえた同居人の制止の声に耳も傾けず、一心不乱に駆け出した。
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りんごキャラメル@さくらぁ - 《追記》しかしそんな馬鹿なトコがかわいくて好きです。 (5月19日 22時) (
レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - 多数決のシーン、好きです…(笑) 後から浅倉さんがゆっくり手をあげるトコとか。夢主ちゃんもあげましたか…やっぱり、真司くんは馬鹿なんですよ(←酷) (5月19日 22時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年5月16日 18時
