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『ありがとうございました』
本日花鶏を営業しているのは、優衣と真司、そして私だ。常連さんと適度な会話を交わしながら注文を取る…ウェイターという仕事はやはり、中々楽しいモノである。
『いらっしゃいませ。ご注文は如何致しましょう』
続いて私が注文を取りに向かったのは、つい先程来店した、朱色のチェックのシャツが目を引く青年。座っているから分かりづらいけれど、きっと背が高いのだろうな、とは想像がついた。
マァ、そんなことは接客に関係ない。相手がどんな人間であれ、客ならば客としてもてなすのが基本である。故にお盆を片腕に抱え、彼の目の前でニコリと微笑んだ。
「あの…お名前、なんて言うんですか？」
『…私、の？』
「ハイ！」
『…鶴見Aと申しますが。…ええとその、ご注文は、』
青年の質問に、大した思考もなしに答える。
あ、そういや、花鶏だったらいつも"鶴"って言ってたな。そんな文言が、脳内で咀嚼されるより先に。
「Aさん！いやぁ、お綺麗ですね！俺、貴方みたいな綺麗な人初めて見ました！」
『……は？』
彼は、空いていた私の右手を両手で握って、目を合わせてからそう言った。
「俺、佐野満って言います！いつもココでお仕事されてるんですか？」
『いや…本職は別に…』
「本職があるんですかッ？ちなみに何を」
『記者です、記者…あと経理も…』
「記者に経理！凄いなぁ、俺なんかじゃ絶対出来ない！それなのにココでも働いて…憧れちゃうなぁ！」
『あ、ありがとうございま…』
「やっぱり出来る人ってオーラから違うもんなぁ！」
『あの…ご注文、』
暫く思考が停止したけれど、その後も続く褒め言葉の連投に、彼の行動は理解出来た。
マァ、一言で言うならナンパだろう。
非常に困る。
何が困るって、現在私は花鶏のウェイターなのだ。客と店員という立場だから、雑にあしらうことも躊躇ってしまう。普段なら適当に流すのだが、注文も取れていない今｢もういいです｣とか｢やめてください｣とか、バッサリ言い切るのは難しかった。
それから、花鶏で働いている際、声を掛けてくるのは皆女性だったというのも困惑の要因である。
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りんごキャラメル@さくらぁ - 《追記》しかしそんな馬鹿なトコがかわいくて好きです。 (5月19日 22時) (
レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - 多数決のシーン、好きです…(笑) 後から浅倉さんがゆっくり手をあげるトコとか。夢主ちゃんもあげましたか…やっぱり、真司くんは馬鹿なんですよ(←酷) (5月19日 22時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年5月16日 18時
