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『いらっしゃいませ！ご注文は！』
注文を取り、じゃれついてくる子供を席に連れていき、紅茶を運び、また注文を取り…一つの仕事が終了したと思えば息を着く間もなく更なる仕事が降りかかる。
そのせいで新たな客の来店に、顔も確認することなく定型文を口にした。店内を歩き回る少年を母親の元へ引き渡しながら、一瞬見えたのは、スーツと高級そうなコートを纏った男性の足元だけ。
「そうね…一番高いの持ってきて」
「ハイかしこまり…ってお前！」
その客の声に応答したのは私ではなく、背後から駆け付けた真司だった。しかし彼は不自然に言葉を切り、驚きの声を漏らす。
私は咄嗟にそちらを振り向いて、そして目を見開いた。
『佐野…？』
そこには、一昨日花鶏から真司によって追い出され、それきり顔を合わせていない相手…佐野満が立っていたのである。
しかしその雰囲気があまりにも違うから、私はスグに気付くことが出来なかったのだ。
キッチリしたスーツに、高級感漂うコート。ヘアセットも見るからに丁寧に成されており…彼は、お金が無いとか最近ツイてないとか、そんなことを言う人間には間違っても見えなかった。
ソレに、彼がしたオーダーも、金持ちの道楽にしか思えないモノである。
「何だって…？俺たちを雇いたい？」
「何を考えているんだ、お前」
「別に？」
そして蓮にも声をかけ、私達は一度花鶏を出た。
そこで聞いたのは、数日前と立場を逆転させたかのような言葉。雇ってくれと持ちかけていた佐野が一転、雇わせてくれと言う側に立って交渉しているのだ。
「勿論タダとは言わない。契約金として…」
そう言って彼が持ち上げたのはレザーのアタッシュケース。ソレはゆっくり開かれて…中に詰められた大量の札束を、私達は目撃することとなった。
目を見開いたり息を飲んだり、私達は各々驚きを顕にする。日頃ここまでの大金を、間近に見る機会なんて無いからだ。ソレに、つい先日までお金に困っていた人間が、唐突に大金を持ち得ているというのも驚く対象であった。
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りんごキャラメル@さくらぁ - 《追記》しかしそんな馬鹿なトコがかわいくて好きです。 (5月19日 22時) (
レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
りんごキャラメル@さくらぁ - 多数決のシーン、好きです…(笑) 後から浅倉さんがゆっくり手をあげるトコとか。夢主ちゃんもあげましたか…やっぱり、真司くんは馬鹿なんですよ(←酷) (5月19日 22時) (レス) id: 0caca33ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年5月16日 18時
