鶴は幸せを運ぶのか Ⅹ (ページ30)

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目覚めた場所は花鶏の自室。
目に映ったのは天井と、こちらを覗き込む優衣の顔であった。

「…お姉ちゃん、大丈夫？」
『あ…ぇ…ウン、大、丈夫…』

私は、治療に体力が追い付かず意識を飛ばしたのだ、と。立ちくらみのような感覚に襲われながら、自らの身に起こったことを思い出す。
だからベッドに眠っていて、優衣が不安げな顔を見せているのかと、現状の整理もすることが出来た。

「Aちゃん、起きたんだ。コレ…食べれる？」
『真司…ありがとう』

扉から顔を出したのは真司。
手には小さな土鍋が乗せられていた。中を見れば、そこには卵がゆが湯気を立てている。
夕食にと持ってきてくれたらしい。病人扱いされているようだが、まだ風邪をひいたくらいの不調は残っているから、有難いことに間違いない。

「浅倉は…捕まったよ、ちゃんと」
『…そっか、』

食事を終え、私が聞いたのは勿論、意識を失った後の事だ。窓から見える空は茜色に染まっていて、かなりの時間が経ったことは伺えたから。
浅倉は捕まり、当初の予定通り関東拘置所へ送られたらしい。そして蓮は、恵里サンの元へと向かっただろう、と。

『新しいライダー…ソレって、タイガのこと？』
「タイガ…？」
『えっと…デストワイルダーと契約してたと思うんだけど…虎みたいなモンスター居なかった？白と青の』
「居た…！そうかアイツ…タイガって言うのか…」

そして、何より聞きたかったのは仮面ライダータイガの存在について。
話を聞く限り、彼の言う新しいライダーとタイガとは一致しているようだ。きっと、浅倉を倒したのもソレである。