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「戦いを続けろ」
『！』
「生き残った者は、私と戦い、力を得られるだろう」
混乱する頭に飛び込んできた、ガラス越しのその言葉。
「13人目である、この、私と」
突如現れたライダー。
黄金の光を纏うライダー。
13人目のライダー。
嗚呼、そうだ。
海馬の奥底から、無理矢理引き上げられたようなその記憶。
13人目のライダー。最後の一人。
神の名を冠するライダー。
戦争と死の神の名を冠する、アレは。
『仮面ライダー、オーディン…』
網膜に、焼き付く程の、金色。
「何人目だろうと知ったことか。勿体ぶらずに今戦えよ」
浅倉のその声を皮切りに、ライダー達による攻撃が始まる。
エビルウィップを振り翳す王蛇。弾丸を放つゾルダに、斬りかかるナイト。しかしその全てが意味を成さなかった。彼らの攻撃は効かない以前に、オーディンに届くことすらなかったのである。
「まだ私と戦うときでは無い。お前達は今のまま戦い合えばいい」
ゴォン、ゴォン、と。
何処からか、鐘の音が聞こえる。
「だが」
聞き覚えのないハズの、しかし聞き覚えのある鐘の音。
ガラスの向こう側で、黄金のライダーが、絶えず光る羽を纏う。
「少し修正が必要になった」
ドクン、という音が響いた。
鼓動の音だ。私の心臓が鳴らした、重たく脳髄を揺らす音。
同じなんだ。
昨日聞いたばかりの言葉。
兄が発したあの言葉。
脳天から腰椎を貫く程の、恐怖を抱いたあの言葉。
"有り得ない"
ずっと、その言葉が脳裏にあった。
怖いほどのデジャヴ。
何年も戦いが続いているかのような感覚。
兄さんが死んでいるという事実。
有り得ない、有り得ないと。
それら全てがありえないと。
ただ只管に、自分に言い聞かせていた。
『…はは、』
笑える話だ。
何を今更。
"有り得ない"？
ミラーワールドも、モンスターも、ライダーも。
最後の一人になれば願いが叶う、なんて甘美な夢物語も。
十分"有り得ない"事象じゃないか。
ータイムベント
鐘の音は止まない。
『……兄さん、』
何かが割れる音がして、私の視界は暗転した。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年3月26日 15時
