鶴は幸せを運ぶのか Ⅷ (ページ42)

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『なんでこんな所まで来てるかな…』
「だって、めぐみさんが可哀想だろ！」

私と真司は現在、北岡サン宅からそれなりに離れた、とある海へとやってきていた。この時期、海水浴客でいっぱいとなり賑わいを見せる場所だ。
海風に運ばれた潮の匂いは、心地良いような重たいような。いずれにせよ、夏が身に染みる感覚である。

「あのー、すいませーん。すいませーん！」

アレから真司は、村木サンよりめぐみサンの情報を聞き出したのだ。結果、現在はココでラーメンの屋台を出していることが分かり、我々はやってきた…というより、私は真司に引っ張られる形で来ざるを得なかった。
情報を聞き出すのも上手くなったものだ。初めは怪訝そうにしていた村木サンも、最終的には真司に協力的だった。地のコミュニケーション能力と培ったジャーナリストの経験が故だろう。願わくば、他のことに使って欲しかったものである。

「あのー、」
「あ、いらっしゃいませ！」
「あー、いえ、違うんです。あの、浅野めぐみさんですよね」

車屋台の裏の、海と砂浜が一望できる土手。めぐみサンは一人ソコに座って、じっと目の前の景色を眺めていた。

「…ハイ、」

明るい色のキャミソールとジーンズのホットパンツ。ナナメの前髪に、キッチリ纏まったお団子。
この頃流行りの女の子。
元気で明るい女の子。
第一印象は、マァ、こんなものである。