鶴は幸せを運ぶのか Ⅷ (ページ4)

今日:16 hit、昨日:25 hit、合計:6,790 hit

309 ページ4

ガラスの奥に見えるのは四人のライダー。
龍騎、ナイト、ゾルダ、王蛇。
真司と、蓮と、北岡サンと、浅倉である。

北岡サンはモンスターを追った末、ミラーワールド内で蓮とモンスターとの戦いに出くわしたのだろう。北岡サンの家で感じたモンスターの気配は既にないから、彼の手によって倒されたハズ。そしてそのままの足で、蓮との戦いに臨んだのだ。彼らしくないその戦法は、｢時間が無い｣と零した彼の焦り故かもしれない。
浅倉は、北岡サン同様にモンスターを倒した末なのか、ライダーとの戦いを望みここに辿り着いたのか。いずれにせよ、ライダーの戦いが目の前で起こっているのならば、生来戦いを渇望する彼が乱入しないワケがないのである。

拓也君を諦めさせるためモンスターと戦った蓮。
何の因果か、次々と現れたライダー。
始まったライダーバトルと、止めるためミラーワールドに飛び込んだ真司。
ガラスに映る光景は、殺し合いに他ならない。

命の削り合いが続き、ふと、浅倉がカードを取り出す。
べノバイザーに読み込まれ現れたのは、ベノスネーカーを始めとする三体のモンスターだ。それらは合体し、ジェノサイダーへと変貌する。
ソレから放たれるエネルギーが凄まじいのは一目瞭然。隔たれた世界でありながら、その場の緊張感はこちら側にすら伝わり、私も一つ、息を飲んだ時。

『ッ！』

黄金の光が、辺りを包んだ。

ガラスを通り抜けて尚、目を逸らしたくなるほど眩しいその光。ライダー達の頭上から発せられたその光。
よく目を凝らせば、中心にあるのはライダーである。

『何…？』

光は大きく強くなり、突如、光り輝く羽がぶわりと溢れ出した。無数の羽を纏うそのライダーは宙を舞い、ゆっくりと地に降り立つ。
その様は荘厳で、神々しささえ感じられた。

これ以上張り詰めることは無いと思われた緊張の糸は、限界を越えんとばかりに一層強く引き絞られる。
恐怖にすら感じる緊張から私を引き戻したのは、聞き慣れた電子音だった。

ポケットに入ったケータイから、耳に届いた着信音。
殆ど反射で、相手すら確認せずに通話に応じる。それくらい焦っていて、危機感が欠如していたのだ。