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ストーカーから令子サンを守ると息巻いている真司。私に花束を渡すタイミングを探っている由良サン。
そんな二人が、バッタリ出会うとどうなるか。
ここまで話していれば想像に容易いだろう。案の定と言うべきか、真司は由良サンをストーカーだと勘違いしたのである。
彼は相手の顔も確認せず襲いかかり、見事返り討ちにされたのだ。二度も言うべきでないやもしれないが、やはり城戸真司という男は考え無しなのである。
由良サンはあんなにも敵の多い北岡サンのボディーガードを務めているのだ。なれば当然、体術には優れているだろう。ソコに素人が飛びかかったとて、軽くいなされるに決まっている。
その反動で彼は頭を打ち、意識を失ったらしい。そして、私が｢何事？｣と零した光景に繋がるワケだ。
『ご理解頂けて？』
説明の後わざとらしくそう言えば、真司は顔の傷を抑えながら、納得したようなしていないような声音で唸った。
その気持ちは分からなくも無い。
｢何故花束を他人(由良サン)を使って渡そうとしたのか｣とか、｢ずっと後をつけずとも渡すタイミングくらい訪れるんじゃないか｣とか、｢そもそも何故急に花束を渡そうと思ったのか｣とか。
疑問は留まるところを知らないが、そもそも真司が"知り合いのクセして声を掛けず後をつけた"という点にも疑問は起こる。要するにツッコミきれないので、考えるのはやめた。
「由良さんはストーカーじゃない…」
『そう』
「じゃあ…まだストーカーは令子サンをつけてるってコトじゃ…！」
『……は？』
コレにて一件落着かしら。何て思っていたら、神妙な顔付きで言葉を発した真司。
何やらまだまだ話が終わらない予感がして、怪訝な表情を浮かべて聞き返してしまう。目が合った彼の顔は、歴戦の探偵みたいに真面目腐っていた。
「だってそうだろッ？俺はてっきりストーカーを捕まえたとばかり思ってたけど…そうじゃないなら…！」
『いやでも…あの後令子サンの家が見えるところまで送ったんだけど…』
「家まで送んなかったってこと！？」
『だって…令子サンが、もう大丈夫って言ったから…』
「なんで家まで送ってやんなかったんだよ！」
『お前がソレ言うかッ？！』
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年3月26日 15時
