鶴は幸せを運ぶのか Ⅷ (ページ14)

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「私もー、前に何度かストーカーに会ったことがあってぇー」
「勘違いスよ」
「…」
「俺の尊敬する令子さんのためだ！俺らが令子さんを守ります！ね、Aちゃん！」
『勿論』
「必ず！いやいやいや絶対！」

いつもよりワントーン高い島田サンの声をバッサリ切り捨て、"俺らが令子サンを守る"と宣言する真司。
勝手に私の意志も加算している彼に一言物申したい気持ちもあったが、マァ彼の言う事には同意なので今回ばかりは見逃そう。

『令子サン、私今日歩きで来たんです』
「珍しいわね」
『早く目ェ覚めたんで…。だから今日、一緒に帰りません？』
「遠回りにならない？」
『平気です。何なら夜ご飯一緒に食べたいなー…なんて』
「そうね…じゃあ…ッ…！」
『ッ…、』

仕事終わりに思いを馳せていれば、突如、コメカミに走った痛み。暑さに促され、後先考えず氷を掻き込んでいたからだろう。所謂アイスクリーム頭痛というヤツだ。
辺りを見渡してみれば、令子サンだけでなく真司や島田サンも頭を押えている。

「…じゃあ、お願いするわ」
『喜んで』

未だコメカミに手を当てる令子サンに微笑まれ、応えるようにニコと口角を上げる。
帰りは何処に寄ろうかしら。令子サンの家への道中なら…半個室のレストランや珈琲の美味しいカフェ…そういえば、最近出来たばかりの喫茶店があったっけ。

なんてことを考えていれば、いつの間にやら頭痛も治まってくる。
故に私は懲りること無く、もう一度かき氷に手を付けた。