永劫 ページ1
神は儀式を始めた。
神の宝はたったの二つ。
儀式の目的となる少女。
儀式の終着点となる女。
それ以外は何も要らなかった。
神が儀式に求める成果は一つ。
彼が認める結末は一つ。
それ以外は認めなかった。
認めるワケにはいかなかった。
響き渡る鐘の音を、何度聞いたか分からない。
一度目。
戦いに身を投じる人間が足らないまま、その儀式は期日を迎えた。
二度目。
平等なその戦いは決着がつくことはなく、その儀式はまたもや期日を迎えた。
三度目。
祝福を受けたたった一人には神すら打ち勝つことが出来ず、その儀式の目的が果たされることは無かった。
彼は戦いを続けた。
十七度目。
その儀式が行われる世界は勇気ある者たちによって永遠に閉ざされた。
十八度目。
戦いに参加した者たちの結託による刃は、遥か遠いハズの神の首にさえ届いた。
十九度目。
密かな神によるその儀式は人々に広く知れ渡り、最早継続不可能となった。
彼は戦いを続けた。
三十四度目。
戦いの参加者は自らの宿命から目を逸らし、その儀式は期日を迎えた。
三十五度目。
戦いの場は現世すら侵食し、儀式を正常に進行することは不可能となった。
三十六度目。
戦いの参加者は一人の聖者によって考えを改め、進行は止まり儀式は期日を迎えた。
彼は戦いを続けた。
×××度目。
その儀式の目的は消える事を選んだ。
×××度目。
その儀式の終着点は消える事を選んだ。
×××度目。
目的も終着点も消えた。
彼は戦いを続けた。
鐘の音は止まらない。
彼は、止める術を知らなかった。
もう既に、止める術は失われていたのである。
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作者名：なちなちこ。 | 作成日時：2023年3月26日 15時
